2010-01-01から1年間の記事一覧

1960年代を再訪する2

1960年代を再訪する/Revisiting the 1960s―Lara Schrijver『Radical Games』序文の続き。3分の2。1はこちら。 ときに、建築的介入の負っていた責任が過剰だったのかというと、そういうわけでもなさそうだ。論争を呼んだ「建築か、さまなくば革命か」という…

1960年代を再訪する1

Radical Games: Popping the Bubble of 1960's Architecture作者: Lara Schrijver出版社/メーカー: Nai Uitgevers Pub発売日: 2010/06/30メディア: ペーパーバック クリック: 1回この商品を含むブログを見るタイトルは『ラディカル・ゲームズ―1960年代建築の…

地方で演劇をつくること

「OUR dialogue #3 舞台芸術の<現在>」へ行ってきた。お話は京都を拠点にし、演劇・ダンスアーティストのマネジメントを行い、京都国際舞台芸術祭2010「KYOTO EXPERIMENT」プログラム・ディレクターでもある橋本裕介さん。彼がなされているお仕事が「地域…

グレイ・グー

volume9号「Suburbia after the crash」特集より。「郊外」のおこりについて。ちなみにこの「グレイ・グーGrey Goo」には「くらい未来」くらいの意味もあるらしくて、「ナノテクノロジーの進歩により人間の管理を超え自己増殖を図るナノロボットがねずみ算式…

問題を解決することと、要求を実現すること

ちょっと詳しくは分からないのだけど、どうなんだろう? と思っていることを書きます。それは、地域再生(とか地域振興、地域活性化、まちづくりなどなど)の取り組みは「地域にはこういう問題があって、それを解決しよう」という論理で行われるのか? ある…

タウンとアーキテクト01

地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書)作者: 久繁哲之介出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2010/07/07メディア: 新書購入: 23人 クリック: 403回この商品を含むブログ (54件) を見る うまくいかない「地域再生」の話 ハコモノをほ…

Seeing Like a Society Interview with James C. Scott後半

前半はこちら ジェームス・C・スコットインタビュー後半。社会設計という大きなレベルの前半部に対し、後半部からは都市や生活といったより身近な話へ。プロ・ジェイコブスの分かりやすい「界隈」擁護だけ読んで溜飲を下げるのではなく、その後の「スコット…

Seeing Like a Society Interview with James C. Scott前半

「Engineering Society」特集のVolume16号(この号の序文「Planning Paradise(楽園を計画する)」の日本語化はこちら)に掲載されているジェームズ・C・スコットへのインタビュー。JCS(James C. Scott)は1936年12月2日生まれのアメリカの政治学者、人類学…

nelobo the heterotopographer

明日12月1日からはじまるnelobo|Heterotopiasについて書きます。 「地域に介入しその場所固有の素材や技術を使いながら建築していく建築家」であると彼らのことをあらかじめまとめており、それそこが彼らの特徴だと想定していたのだけど、もう少し違う、彼…

石上純也―建築の新しい大きさのこと

豊田市美術館でやっている石上さんの展覧会をふらりと見てきて思ったこと書きます。それとは別に、会期が長かったのか結構痛みも激しそうだなとか、それどころか豊田市美自体の疲労もちらほら見えるなとか、そういうことも思った。ちなみに初めてここにきた…

地域と芸術支援

山形浩生さんのウェブログから。中国は国営工場周辺にアートギャラリーを集めた789芸術地区についての記事。 日本で芸術支援というと、こぎれいな美術館でも作るだけで運営にはろくに予算もつけず、しょぼい企画がさらにどんどんジリ貧になって、5 年たつと…

オリビエ・ブーシュロンのこと

12月1日から一週間程radlabで紹介する仏人建築家オリビエ・ブーシュロン(Olivier Boucheron)が2008年にAJAPを受賞したときのテキスト。著者はラファエル・マグロウ(Rafael Magrou)という建築家、建築批評家。 本文はこちらです。 - neloboがどのように面…

タウンアーキテクト2

唐突にまたはじめますね。この前、「市民を代表して決めるひとをあらかじめ決めておいて、そのひとに決めさせる」決定のモデルどうなんだ、ということを言ってみた。で、今日はそれに関して面白い「そうじゃない」モデルスタディがあった、という(聞いた)…

湯浅良介「nothing and something」アフターノート

rep第5弾湯浅良介展のアフターノートをRADウェブにあげていた。 rep|「YUASA RYOSUKE / nothing and something」afternote architecturephoto.netさんが特集してくださったときに彼の推しポイントを「想像力」のあり方だと書いてみたのだが、ソノママだとた…

Hyslomのこと

雑記。 6日の土曜日はLABORATORY aka radlabにて映像上映中だったHyslomによるパフォーマンスがあった。ヘルメットを被ったメンバーのヒトリが頭をガラス箱につっこみ、LABORATORYのベランダからロープ伝いでモノをそのガラス箱にぶつけていく、という映像を…

いわゆる正論にはあんまり神は棲みつこうとはしない

住宅道楽―自分の家は自分で建てる (講談社選書メチエ)作者: 石山修武出版社/メーカー: 講談社発売日: 1997/05メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る 石山修武『住宅道楽』つづき。 人間の幸せは一個の家族に自閉するものではなく…

タウンアーキテクト1.5

住宅道楽―自分の家は自分で建てる (講談社選書メチエ)作者: 石山修武出版社/メーカー: 講談社発売日: 1997/05メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る 石山さんは本を書くことでずっと同じことを問うている。 依頼者でもなく、から…

東京で

代官山駅入口の信号をそのままズンズン北へ行くとあります 代官山から青山に行く途中に見つけた家。しれっとこういうニクい家が出てくるから散歩は楽しいな。網にかかっているようだ。グリッドがクリッと45度傾いてるところにちょっと川合健二邸を思い出した…

タウンアーキテクト1

一時期メディアをちょっと賑わわせたもの(真相は分からず)の、現在その名前を挙げる人はいない、気にしてる人すらおそらくいない(と思う)「タウンアーキテクト」をいまさらながら二種類挙げてみたのが前回。今回は、先に挙げた二例のひとつ「地域のデザ…

タウンアーキテクト0

タウンアーキテクトについて。まずは「タウンアーキテクト」あるいはそれに準ずる名のもとに考えられるおおよそ二つのモデルについて少し考えてみたい。 - 地域のデザインディレクションを行う建築家 地域に根ざして活動する建築家 - 「1」はいわば制度化と…

volume#24「YES, BUT」を読んで

前半 後半 - 拙い訳にさぞやうんざりされたことかと思う(ごめんなさい)が、カウンターカルチャーをスタート地点にしたこの話は一貫して「what if」から「yes, but」という姿勢への変遷が語られていたのだった。言い換えると、「過去から断絶するモデル」へ…

Volume#24「YES, BUT」後半

前半はこちら - カウンターカルチャーにおけるドラッグの使用を論じた文章からなんでこんな話になったのか。そのときのポイントは、ドラッグの使用、つまり個人個人の内側へともぐりこんでいく内省の流行は、外側から押し付けられる規制(例えば、人を人とし…

池田亮司「スペクトラ」

道を歩いているとあるエリアだけやけに虫が集まっていてぎょっとなる、あの集まっているところを虫柱というようだが、この光の塔も見事なまでに虫柱化していた。写真であまり見られないのが残念だが、光の中をうようよしてるキラキラした細かい粒はゴミでは…

Volume#24「YES, BUT」前半

前回「ニューロポリティックス」を参照にして二つの「共同体」を見た。「大地へ帰れ」運動のような共有ベースと、まさにその文章で語られていたドラッグの使用を通した内省ベース。この二つ。前回の話のポイントは、後者がある支配的ロジックへのカウンター…

DESIGNEASTのこと

10月2日のナサニエルさんと椿さんとの対談(山崎亮さんモデレート) →DESIGNEAST TALK01 Nathaniel Corum ×椿昇 モデレーター 山崎亮 どちらもある場とそこに存在する問題との関連が強いプロジェクトを行ってはいるが、面白かったのが建築家のナサニエルさん…

Volume#24「Neuropolitics」ヤク

volume#24は「技術」「環境」(参照:Volume#24 Expanding Environmentalism)「コミュニティ」の三部に分かれていて、今回は「コミュニティ」部にまつわるC-Labによるテキスト「ニューロポリティックス」を読んでいる。READTANKで取り上げるのが先になりそ…

DESIGNEAST01

10月1日から3日まで、大阪は「名村造船所跡地 / クリエイティブセンター大阪」で行われる「DESIGNEAST01」というイベントに、RADの一員として参加します。 HP:www.designeast.jp/ - 開催日時】 2010年10月1日(金) 2日(土) 3日(日) 11:00 - 22:30 会場…

TOKYO METABOLIZING

トウキョウ・メタボライジング作者: 北山恒・塚本由晴・西沢立衛出版社/メーカー: TOTO出版発売日: 2010/07/25メディア: ペーパーバック クリック: 13回この商品を含むブログ (6件) を見る 第12回ヴィネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館公式カタログ。こ…

dezamについて

1930年から1933年、京大前建築科学生の中枢として存在した「デザム」という集団がいた。その中に西山夘三も浦辺鎮太郎(当時20歳前後)も名を連ねていた、ということで有名な集団だが、それ以上の情報はウェブ上ではなかなか見つけづらい。 「鉄のごとき共同…

Volume#24 Expanding Environmentalism

次回READTANKでその序文を読む(予定の)ヴォリューム24号「カウンターカルチャー」特集は三部に分かれていて、「技術」「環境」「コミュニティ」がそれぞれのテーマになっている。各部にはC-Labによる概説が掲載されており、「Expanding Environmentalism」…