アーキフォーラム

石上純也氏の講演会のこと。ちなみに前々回の迫さんの時の様子はこちら
昨日は「大入だ」ということしか言ってませんでしたので内容をちょっとばかりお伝えします。当日風邪をひかれていたようで、ゆっくり静かに淡々と喋る石上さんが印象的でした。

テーマは「自作について」。
こうしてザッと見てみると「建築物」は「KAIT工房」「Yoji Yamamoto NY店」のみですが、「構築」に限られないアプローチでも十分に空間性が問われているため、どれもが等価な重みを持っているように感じます。

さて、個々のプロジェクトについて書いているとダラダラするので、これだけ。石上氏と「植物」の関係性について。とりわけ氏の住宅プランにおいてかなりの頻度で登場する「植物」とは何を意味しているのか、ということです。
しばしば「自然との共生」をうたいつつもその実建築物の装飾として植物が使われていたりするのですが、石上氏はこういう手法はとらない。かといって対照的に、植物を主役にして建築するというエッジーな方向にむかうわけでもない。じゃあ何か。
自分なりの推測を言うと、スポーツの「ルール」を構成するようなものとして植物が使われているように思うのです。つまり建築と自然とのどちらが強いか、という二項対立に行くわけではなく、あるルールをデザインした中でどう建物をデザインしていけるか、というように。「ルール」という言い方が不適当ならば、「制約」とでも言いましょうか。制約をイマジネーションの源とする隈研吾氏のアプローチとは異なり、むしろ「制約」(ちょっと意味が変わってくるな)の側もデザインしてみようという意図が感じられるのです。ちょっと間違えれば上に上げた二項へと回収されてしまうような危ういところに、石上氏における「植物」があるのではないでしょうか。
ということで、ロジカルに行くとここには植物以外のモノも参入できそうなのですが、「植物」でなければ何をそのかわりに持ってくるか、を聞いてみたいところです。