ぼんちゃんのボンサンス、閣下の愛

今日は六甲祭があった。いつもはお祭りとかあんまり好きじゃないのでスルーしていたのだが今回は水野晴郎閣下(今や「閣下」の愛称で呼ばれうるのはデーモンと水野の二人のみだろう)が来るということで重い腰を上げようか迷い、下げかけた頃に西田和昭(ぼんちゃん)も来るということを知って行くことにした。

結果から言えば行って正解だったというか、正解も正解、大正解だったわけで、行く前まではあの二人はいつも二人で講演してるから(というかいつもいっしょ)ホモに間違われてるんだっけな、などとあやふやなうわさも思い返しつついたのだけど、なんとなく二人が一緒にいるわけが分かった。要するに閣下一人では間が持たない。ということだ。いきなりネガティブだが。閣下は映画評論はいまだに朗々として語りえるが、なんとなくそこには華がない。ここにひょいとぼんちゃんを加えるとあら不思議、場が盛り上がる、というわけだ。

今回もまずは閣下の一人喋りで幕を開けた。で間が持たないのでは、と思った矢先のぼんちゃん投入で、ぼんちゃん参戦後のトークはのっけはなんだか二人でファミレスにいるみたいなほんわかした雰囲気だった。そしてだんだんぼんちゃんが主導権をとっていき、合間合間で閣下を泳がして、で落とす、という構図がぴったりとはまってきた。落とし方は大体閣下が「シベ超」を嬉々として話した後に「ね、どうしようもないでしょ」というような「落とし」をお得意のたけしモノマネを動員しながら会話の節々に挿しはさんでいた。上げて上げて落とす、というダイナミズムが実に良かった。

一方的にぼんちゃんが閣下を落としてバカにしているわけではなく、ぼんちゃんの閣下に対する敬意のようなものの横溢のその節々にスパイスとして「落とし」が加えられる。だから聞いているこちらも安心していられる。そういう意味で実に気持ちのいい講演会だった。話の内容もよかった。「シベ超に対する閣下の気持ち」「シベ超の歴史」「シベ超の登場人物」「シベ超に対する他の監督のラブコール」とまあ大方予想はついたがその8割9分くらいが「シベ超」話だったが、大物俳優や大物監督がポンポン飛び出すそのトークは興味深かったし、業界に人気、というなるほど話も聞けた。

日本映画界における事件といっても過言ではない「シベ超」はその事件性における映画愛を遺憾なく発揮し、あるものを嬉々とさせ、あるものを震撼させながら今度6でラストになる。愛し、愛された閣下はそうした愛の飽和状態のなかでぶくぶく太っちゃったんだね、きっと。