シシリー

sakakibara19842006-03-02

ドルチェ&ガッバーナの香水に「シシリー」というのがある。でそのCMにはモニカ・ベルッチが起用されている。とあるお方が「ベルッチいいぜ」とおっしゃっていたので、あとでメールを送ってCMソースを紹介していただいた→コチラ。ありがとうございます。

このCMは初見ではストーリーが分かりづらい。ただ流れとしてのありがちなラヴ・ストーリーにシニックな形で織り込まれる「男の性」がポイントとなって引っかかってくる。例えばベルッチの着替え中を覗く男とベルッチが訳ありげに見つめあうという流れの中に(後に)ベルッチが落とした下着をちゃっかりポケットに隠す彼、というように。さらにラストではベルッチと彼が接近する傍で彼がポケットから落とした下着を他の男達が嗅いでいる。おかげで図式的に「男は見る、女は見られる」と結論付けられないしこりが残る。なぜなら女の落とした下着のインパクトの強さによって「匂い」が強烈に前に出た際、男達はその伝達媒介でしかなくなるからだ。「シシリー」は女性用の香水であり、それこそ凡百なラヴ・ストーリー風の強烈な「クサさ」は女の下着へと移転し、その「匂い」の強さが女へと象徴されているように思う。

長くなるとダラダラするのでこの辺で切って、と。またハッとしたらエントリで触れることにしよう。ただ香水やお香といった「身に着ける香り」の問題は感覚の問題からアプローチすると興味深い考察が出てくるのではないかと思う。わが国には源氏香なる伝統的な云々かんぬんというつもりはないがそれでも「この香りはあの人だ」みたいな嗅覚によるアイデンティファイが触覚や他の感覚を伴った動作へ繋がっていくということの特異性はみすごしたらいかんと思う。