『建築知識』1996年10月号の佐々木宏さんのパヴィリオン論を読む。屋根はコンクリートスラブではなく実は勾配屋根だとか、十字柱は二種類図面が存在するだとか、ガラスに挟まれた鈴木了二さんが「光箱」と呼ぶ空間にはトップライトが設けられているだとか、トリビアルといえばトリビアルな話だがおろそかにはできない。

1929年のオリジナルと1986年の再建では間違い探し的な相違があるようだが後者に対して前者を重視することもあまり有効ではないように思う。五ヶ月しか存在しなかったパヴィリオンの解釈のされ方はボンタさんが述べているように複雑にいりくんでいる。むしろその当時から再建というイベントによってさらに錯綜したパヴィリオン解釈を前提にしないといけないと思う。