フォーマル/インフォーマル

3限はデザイン論。

「フォーマル・デザイン」と「インフォーマル・デザイン」についての授業。前者は一定の公理系から推論規則と言語とによってある構造が演繹されるようなデザインをさし、後者はそうした固定性(フィクシティ)から自由になっているデザインをさす。アレグザンダーの区分で行くと前者は「ツリー」、後者は「セミラティス」となる。

上の画像は左が1960年代に建てられたエーロサーリネンの「TWA空港」で、右が2008年に竣工予定のOMA「CCTV」である。この両者の関係も突き詰めていくと「フォーマル/インフォーマル」の構図に当てはまるように思う。実際OMAにコミットしているバルモントの最近の著作が『インフォーマル』という題であり、彼の意図は「フォーマル・デザイン」(TWAはそのプロセスで建設されている*1)における公理系、推論規則、そして言語といった一定のフィクシティに対して疑義を呈することにあると言えるだろう。「なんでもありだぜ」ということか。

こうした相違を見ていると善悪とは関係なく「倫理」というものから建築が離れていく現場に居合わせているかに感じる。ただ個人的にノスタルジアを感じているわけではすこしもない(そもそもそんなことできやしない)し、建築における「倫理」からの乖離なんて今まで何度も起こってきたことなのだろうなと思う。

*1:これはつまり構造という一つの規則に対する距離の取りかたにある。基準値を超えていれば柱はどれだけ太くてもいいはずだが、彼らはギリギリまで可塑的に見せる。逆に言えば、その基準値と格闘するためには、その値が導き出される「系」が必要だったのである(フォーマル・デザイン)。彼らはいわば「思想としての構造」を表現することに力を注いでいたのだ。