コンビニについて考えはじめてみたい

コンビニエンスストアの知識 (日経文庫)

コンビニエンスストアの知識 (日経文庫)

アメリカで始まり、挫折し、日本企業のてこ入れで持ち直し今や逆輸入するまでになったコンビニの歴史が一章。システムの革新性が二章。あとは店舗経営にまつわる話が続く。何でこの本かと聞かれたら、ブックオフで安かったからと答えるのであって、もうすこしシステムのくわしい紹介をしているものなんかも読んでみたい。

コンビニの革新性は従来の流通のあり方を変化させた点にある。従来の小売店がケースで発注するのに対してコンビニは単品。しかも鮮度や商品管理に有利になるよう別個で複数回配送するわけであって、そのための戦略としてドラスティックに物流システムをカスタマイズしてしまった。例えば配送センターの設置とドミナント戦略がある。前者は仕出し側がいちいち個別の単品を何度も何度も直接各店舗に持っていく配送コストを削減するため、各フランチャイズで一括して配送センターをつくり、物流の管理を任せるのである。そこから各店舗までは契約した運送屋にお願いする。一方ドミナント戦略とはある地域をひとつのフランチャイズで支配(ドミナント)するというそのままの方法で、これも配送の際の効率化をねらっている。

他にもPOSシステム(バーコードでの個別商品管理)やEOS(足りなくなったら勝手に発注システム)の存在も欠かせない。どの世代が、いつ、どこで買うのか、という基本的情報がいつの間にか蓄積しているのは怖い面もあるが、マーケティングのためを考えると大手企業には「ほしい」存在である。実際実験の場としてコンビニを見る視座はかなり前からあるはず。

そういえばコンビニって、と気づかされたひとつの契機に阿野太一が撮影したコンビニの写真があった。参考:『10+1』23号特集建築写真の中に収録されている阿野太一「コンビニ/パースペクティヴ┼《C》」がそれ。どこでもほとんど同じ、でもそこには微小な差異とまったくことなる流通経路が存在している、こうしたことを想起させる写真群だった。

コンビニ ファミレス 回転寿司 (文春新書)

コンビニ ファミレス 回転寿司 (文春新書)

こんな本もあった。ただ焦点はコンビニではなく食について。