スケーターにとっての建築

連邦政府ビル[1959-1974、建築家ミース・ファン・デル・ローエその他]:大きな大理石ベンチ、グラインド、スライド、そしてそれを使ってのトリックに適し、長くて大きい。

本文中でも引用されているのだが、某スケーターむけのサイトではミースの建築がこのように指摘されている。しかも「大理石ベンチ」のみが特化されている。

おそらくこれがそう(件のベンチがどれかわかりませんが)。

ボーデンのスケート論において通奏低音となっているのは、転用という概念である。しかもスケーターたちにとっての建物とは、意図された形で存在するひとつの物体ではなく、手すり、「大理石ベンチ」というようにエレメントが抽象された輪郭のあいまいなものである。エレメントからエレメントへと「トリック」のコンビネーションをつくりあげていく中で、建物は通常のあり方からまったく異なったものとしてスケーターへとたち現れてくるのであろう。

こうした空間へとボードを駆使して参与するスケーターのあり方を「超‐建築空間」という概念でボーデンは示しているのだが、そのあたりはまた読み込みがいりそう。

ちなみに今スケートボーディングはNHK衛星放送の「X games」という番組で、ひとつの競技としても見ることができる。街中での(ストリート)スケートボーディングにしても自主制作されたものが大量に出回っているらしい。彼らにとって、写真と映像との持つ役割は重なりながらもどこかで異なっているようにも思われる。つまり両者は他のスケーターに向けての自己の顕示である一方で、映像とは同じトリックを反復するための学習素材という役割があるのではないだろうか。

Youtubeで「X games」と検索するとたくさん出てきますが、例えばこんなのがあります。