テレビCMは死んだのか
誤字脱字が多すぎるけど結構面白かった。
テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0
- 作者: Joseph Jaffe,織田浩一
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2006/07/22
- メディア: 単行本
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本の構造としては、これまでの問題点が第一部、それに対する解決策が第二部、第二部の具体例を10のアプローチとして第三部で提示している。たぶんマーケッターだとか業界の人向けだろう。まだ旧態依然なままか、なぜ一歩踏み出さない、というようにかなり扇動的な文言が連なっている。アメリカと日本という差はある程度覚悟して読まないといけないし、その限りでうなづけないところもある。
テレビCMの崩壊、という表向きのメッセージの裏にはインターネットという場所が持つ可能性の重視がある。ここで昨日のエントリでも触れたネットによるコミュニティを考えてみる。本書の著者ジョゼフ・ジェフィは、このフリで分かると思うけど、その存在をかなり重要視している。ただ楽観はしていない。これまでを顧みると、「バイラル・マーケティング」と呼ばれるいわゆる「口コミ」を企業側が能動的に作っていくことはきわめて難しかった。他方ある程度自らが自らにラベリングしているネットコミュは、その属性を正確に判断できるようになれば、かえって使いやすいのかもしれないとしている(深読みかも)。ただその反面、消費者は無知だと思ってナメてるとアゲアシとられるよ、ということだ。
企業が消費者あるいはユーザーのコミュニティを作っていくのではなく、そうしたコミュニティが発生する場所を整備することが大切らしい*1。企業が打ったCMのパロディをいつの間にか制作するユーザーがおり、それがネットで話題となることで「バイラル・マーケティング」は成功だし、悪い例としてはAppleみたくipodのカスタマーサービス悪いよね映像が出回ることもある。このどちらもがyoutubeで見える(はず)。企業が整備するまでもなく、ネットという場所がコミュニティの生成を促しているともとれる。
古いネタだけどこんなのもあった。
これは個人的な見解。別に本書と大して関係があるわけでもない。いろいろ言ってるけどネットテクノロジーは結局企業サイドに有利な話でしかない、という森氏の見解は分かる。実際企業は自らのマーケティングのためにのみユーザーの属性(嗜好とか)を知りたいのであろう。でもそれにまつわる情報の精度が上がればユーザーにはねかえってくる情報の質も上がる。ようは双方がお得ということだ。スパム(まがいの)メールはもうたくさんだと思うが、よく使うところからの情報はなるべく活用したい。そのためにならプライバシーを「犠牲」にしてもいいと思う。僕が隠したいプライバシーが、必ずしも企業の欲しいそれと合致するとも限らないし。これはあくまでも僕個人の楽観的な意見である。