サマータイムトラベラーその二
- 作者: 新城カズマ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/07/21
- メディア: 文庫
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そうそう、作中にそのプランと名前だけが登場する建築家「ヴァン・デル・コールハース/コールハス」という名前にミースとコールハースを喚起されずにはいないのだが、この建築家の都市計画(この点ミースよりもコルビュジエの方がよかったのではと邪推してみる)が過去のものとなり、回想のなかだけで出てくることは一つのポイントになるのかもしれない。均質化如何は別としても現代の都市において根本的に経済ドリブン以外で進む都市開発はほとんど無いと言ってもいいように思うし、その点はこの小説でも共通している。その現実以前のあくまでハードのレベルでの都市計画という理想が変な名前のかつての建築家に象徴されているのではないだろうか。都市計画というコントロールが立ち行かなくなった都市のなかで地域共同体は地域通貨という目に見えないフローでつながり、特定の個は監視カメラによって自らの痕跡を残す。両者を等価に考えることは気が早いと思うけど、様々なレベルでのアイデンティティや欲望とそれが寄って立つ根拠に関していろいろ勝手に想像している。
ということでなんだかんだ言って全部読んだ。