モエレ沼

 
札幌市内から車で約30分、190ヘクタールの広大な土地をイサム・ノグチがアレンジした公園がモエレ沼公園である。元ごみ処理場。ちなみに入場料は無料。アレンジされた各々の物体はオブジェと呼ぶには大きすぎ(ごみで作られた山は近々地図にのるらしい)、施設と呼ぶとなるとそれはそれでまた心もとない。


パヴィリオンに似たこの建物で自転車を借りることができる。大体一時間200円くらい。

自転車を借りて橋を渡ると見えてくるのがこのピラミッド。内部ではイサム・ノグチに関する展覧会をやっていた、のだが時間が無かったので見られなかった。ピラミッドを構成するガラス、そしてその三角を内側で支えるトラス構造は観者に対してむき出しにされており、かたや各室を仕切る壁はプラスターか何かで白く塗られたレンガである。遠目に見る限りホワイトキューブ的なツルリとした壁面が、近づくにつれレンガ積みのゴツゴツとしたテクスチャーをあらわしていく。幾何学的に組み合わされた同一規格のマテリアルで構成されるピラミッドとの対比も強烈だった。写真不可だったのが残念。
 
個人的に一番印象深かったのがこのオブジェ。駐車場である。コンクリート打ちっぱなし。小高い丘(?これもまたオブジェのひとつか)に隣接しているのだが、緑とコンクリートとの接触するバランスが絶妙。キャンティレバー(じゃないな、支柱があったはず)で突き出た部分の独特な迫力、駐車場であるが故に外壁が排除されていることによる解放感。円形に切り取られた開口からは三本の木が伸びており、差し込む光はほの暗い駐車場に強烈なコントラストを持ち込んでいる。正直なところ、これが駐車場か、という気持ちを禁じえなかった。

モエレ沼公園というとこのオブジェや最近できた噴水が有名だが、それ以外にもかなりたくさんのオブジェがある。視点の変化によってさまざまな表情を見ることが出来ること、1時間足らずの見学時間ではどう考えても短すぎること、などを実感した。また行こう。