家族論
住宅は空間化された家族規範?
- 作者: 上野千鶴子
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2002/11/01
- メディア: 単行本
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とはいえいきなり家族解散→みんな独立して生きていこうぜというワイルドなことにはならない。少子高齢化社会の課題として老人介護、育児保育をどうするかという問題が存在するからである。解決策としては以下。プライベートスペースを家族全員に渡すこと、これらをパブリックスペースへと開放すること、ただしその間にコモンスペースをかませ、家族を「ひとつの」コミュニティとして他の多くと等価な選択肢とすること。最後の提案はこれから先介護や育児のアウトソーシングなどがよりいっそう求められるときのことを想定している。いままで家族の内部にあった機能を外部に開いていく必要があり、それを組み込むのもコモンスペースの役割とすべきだ、ということである。
- 作者: 横山彰人
- 出版社/メーカー: 情報センター出版局
- 発売日: 2001/01/24
- メディア: 単行本
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空間が住み方の規範となるという意見も、空間なんて必要ないという意見も、どちらも正しいと思うけどなんだか極端だなと思う。「選択があっての自己決定ならいい」という上野氏の意見は、究極的には空間が必要であることを物語っていないだろうか。個人的には、この二者の間を取ってみたい。例えば「かたち(形態)は機能を支える」という中谷礼仁氏によるform follows functionの解釈を参考にしてみる。空間の使用法に関して、そのかたちがある「からこそ」機能が限定されてしまうと考えるよりも、むしろそのかたち「によって」、ネガティヴな意味にせよ、機能を喚起させることも可能であると思う。空間への意味づけを内側からないがしろにする行為、そのひとつの契機として「収納」が考えられるのではないかとも思っているのだが、この件に関してはコンペ後にまとめてみようかと思う。