世界遺産というけれど

第43回セントラル硝子国際建築設計競技
今回のお題は「世界遺産と共生する建築」。テーマでかい。「中判ケント紙またはそれに類する厚紙(600mm×840mm)1枚に図面および説明文を収めて下さい」とのこと。応募締め切りは7月25日。審査委員長は伊東豊雄氏です。
今回のコンペでの肝は以下の二つかと。

1)どの世界遺産を選ぶか
2)なんで「共生」であって「調和」や「同化」じゃないのか

ちなみに世界遺産に関してはwikipediaが詳しいのでぜひともご参考にしてみてください
ただ個人的な欲としてはそれ以上を考えてみたい。851ある世界遺産文化遺産、自然遺産、複合遺産危機遺産、そして負の遺産に分類されますが、圧倒的に文化遺産が多かったりヨーロッパに偏っていたりと不穏な影(イデオロギー?)がちらつかなくはない。他にも観光地化を狙った世界遺産登録という本末転倒な「歪み」が鎌倉の例なんかで明らかになっていますし、なったらなったで白川郷のように観光地化といまだその「世界遺産」に住む人たちの生活との間に生じる軋轢という問題が出てくるわけです。保存とか大変らしいし。

もちろん個別の建物としては後世に残すべき重要なものでしょう(上は周囲の高層ビル建設計画によって一時危機遺産に追いやられ(かけ)たケルン大聖堂。画像はwikipediaから拝借)が、アクチュアルな時間を生きる人とそれを「世界遺産」というものさしで見る人とがもつ重層的な時間軸が世界遺産という制度によってもたらされることは深く考えてみたい。いっそのことガラスボックスでくるんでみる(セントラル硝子のコンペだし)というのもブラックジョークみたいで悪くないかも。というわけで個人的には制度的な側面での世界遺産を巻き込むような、こざかしいアプローチの仕方をとってみたい。