にもかかわらず本2

テスト中なのに読んじゃっていた本

哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する! (ちくま新書)

哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する! (ちくま新書)

サブタイトル通り大学入試の現代文を軸にして哲学するという試み。ひとつの文章に70ページ強を割くすごく丁寧な解説書とも言えますが、ここでは「設問それ自体」も検証され、予備校各社による「設問の解説」までもが解説されています。言うまでもなくこの本での狙いは、問題を作った人も気づいていないほんとうの答えを解説する、というものではなく、「著者」「設問者」「解説者」「入不二(「この」本の著者)」による四つの読み方(=「誤読」)があるということを伝えることにあるでしょう。ただ面白いのは難ありと考えられる設問でもナンセンスと退けるわけではなく、「私だったら・・・」としっかり「入不二回答」を挙げてくれているところ。これはちょっと笑った。
哲学・航海日誌

哲学・航海日誌

第一章は野矢茂樹「他者という謎」第二章は永井均「解釈学・系譜学・考古学」
時間論 (ちくま学芸文庫)

時間論 (ちくま学芸文庫)

第三章は中島義道「幻想としての未来」
時は流れず

時は流れず

第四章は大森荘蔵「『後の祭り』を祈る」
第四章で大森氏の考察それ自体にまでメスを入れておりますが、普通の解説者がこんなことしたら生徒はまず混乱するだろうな。企画本ではありますが、その枠組みを越え出ていくような入不二氏の個性がちらほらと垣間見えます(とりわけ四章)。いまさら&これからもう読まないかなぁと思っていた上四名の文章に触れるいいきっかけを作ってくれた良書だと思います。
追記:そうそう、僕自身も高校のとき入試の予想問題で出た文章がきっかけになって読んだ一冊がありました。これこれ。
じぶん・この不思議な存在 (講談社現代新書)

じぶん・この不思議な存在 (講談社現代新書)

まだ新装丁じゃないときでしたが。