長崎から佐世保途上

佐世保近くの大塔。夕方からの雨で今日はあまり回れず。
長崎県美術館
隈研吾設計。大理石ルーバーを支えるグレーの鉄骨がややうるさい。これはわざとなのだろうか。内部でもその類の鋼材の「見せ方」があったけれど、周囲の緑に対してあまりにも強すぎるように感じられる。この美術館がその一部である「長崎水辺の森公園」がまだ造成中であること、今日が展覧会の準備期間であったことの影響だろうか、人は一足飛びにグラバー園の方に向かっているように感じた。アラップが構造を手がけたお隣のAIG長崎ビルの存在感がすごい。
グラバー園
総体としてみると日本で建てられた初期洋風建築と言ってしまいがちだが、たとえば正面に設けられたバルコニー(?)部分等から読み取れる微妙な差異が面白い。石、木という素材選択はいうまでもなく、柱間がアーチでつながれていたり、エンタブラチャーのようになっていたり、グラバー園外の洋風建築では持ち送りがつけられているところもあったりとヴァリエーション豊か。ただすべての屋根に瓦が使われているのが疑問。銅板葺きとかのほうが自然だと思うのだが。このへんは材料調達の問題なんかがかかわってくるのだろうか。ちなみに個人的に一番好きなところは旧オルト邸後ろにある崖をくりぬいた天然貯蔵庫。包み込まれる感じがいい。

蝶は還らず―プリマ・ドンナ喜波貞子を追って (ウェッジ文庫)

蝶は還らず―プリマ・ドンナ喜波貞子を追って (ウェッジ文庫)

ちなみに「旧リンガー邸」では「日本に生まれ育ちながら、日本であまり知られていないオペラ歌手」喜波貞子の展示があります。リンガーさんとのつながりはちょっとわからず。
大浦天主堂
正式名「26聖殉教者天主堂」。ゴシック建築なのだが正面にバラ窓はない。昨日見た浦上天主堂が内部構造から独立した「飾り塔」(とでもいうか)を持っていたのと対照的に、大浦天主堂は第二側廊まであるのに塔がない。正面のつくりがオーソドックスなゴシックとは異なって見えるのもその辺が理由だろうか。あまり詳しくないのであくまでも推測。ゴシックの特徴である内部の束柱は木造。国宝だそうです。