吉村順三のはなし
珠玉の名作住宅を残した吉村順三のすばらしい言葉を100集めたもの
- 作者: 永橋爲成,吉村順三建築展実行委員会
- 出版社/メーカー: 彰国社
- 発売日: 2005/10/01
- メディア: 単行本
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「住宅の基本形」(『新建築』1968年1月号)
住宅の基本形というのは立方体である。ある明るさがある。そうしてそこに火と水と便所がある。それから植物がどうしても要る。これは一鉢でもいいから要る。それが人間の最低の原型だと思います。(中略)植物はどうしても何らかの形でなくてはいけないと思います。それは庭になったり出窓になったりいろいろするでしょうけれども、どうしても植物はほしいですね。
植物のあり方のバリエーションとして「庭になったり出窓になったり」と言われているはずなんだけど、この並列ってどういう観点から出てきたんだろう。
確かに出窓に植物は置くだろうけど、それはあくまでもニッチ的というかひとつのスペースだから「ベランダ」とかでも代替可能だろう。でもそれを庭と並置させるっていうところに惹かれる。うっかり出た言葉のあやだしわざわざ引っかかることでもなかろうよ、と言われるかもしれないし、それは実際そうかもとも思う。ただ100なり1000なりいわゆる「金言」を膨大に並べられるよりも、ひとつの無意識的(?)な発言から喚起される人となりのほうにずっと興味がある。