一揆考
現代都市批判の実践本(として読みたい)
- 作者: 松本哉
- 出版社/メーカー: アスペクト
- 発売日: 2008/11/01
- メディア: 単行本
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ちなみになぜ唐突にこの本かというと、立ち読みしたと言うのもあるのだけど、QueryCruiseでの南後先生によるシチュアシオニストに関するレクチャーのレポートを書いていたからでもある。彼らが「発見」された1980年代以降の文脈はさておき、結成当初の1950年代後半から1960年代の社会的背景(「貧困層の都心からの排除」「郊外化、ニュータウン建設」「路地の消滅」「視覚偏重の都市経験」、現代にあらず。50年前のこと!)に対する批判的意識のもとに、「都市の使い方」を実践で問うた芸術家軍団である。
ただ松本氏の運動に特徴的な点は、メンバーがまったく不定(3人から数百人)であること、そして各運動で掲げる大儀を必ずしも目的とはしていないということ。要するに「誰でもゴチャっと騒げる空間」がその過程で生まれてくることをよしとしているようにも感じるのである。もちろんこのあたりに気持ちの悪さと危険性を感じる人もいるだろうけど、常に「敗北」を意識しながら「徒花咲かす」こと、それもひとつの大きな徒花ではなく、小さくたくさんの徒花が各所で咲き散っているのはむしろ健全なんじゃないだろうか。