広島、とものうら、夕方

とものうら

以前立ち寄った喫茶店で「夕日がすごい」と聞いていたので、夕日だけ見に来ました
架橋工事はまだ。どころか「埋立架橋反対」の旗がなくなっていた。Googleでニュースを検索してみると記事の数は一時に比べずいぶん減った。現在の鞆港は少なくとも形式の上では国の判断留保に宙吊りにされたままだ。だからこそこの景観が残っている。これは裁判の話。堰が切られれば浸水は早い。怒涛の覆水は盆ごと流す。愛と欲との水際の話。国の判断留保という判断はその中にあって誠実なカードの切り方だと思う。静かな誠実。

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鞆港を目指す福山駅六時過ぎ発のバスは途中渋滞に巻き込まれるも、架橋推進派が資料で提示する交通の難点とは別種のものだった。そもそも箇所が違う。越えたらスムーズに港。人はまばら。釣り人、散歩人、犬の散歩人、足を止め談話する人々。日が暮れる。1人のモデル、1人のカメラマン、1人のクルーが浴衣の撮影をしている。クルーが曰く「夏っぽい感じで。」肌寒い港でモデルが団扇をあおぐ。夏っぽい感じで。その様子を眺めながら喫茶店でパフェを食べ、一団が引き上げたところで腰を上げる。会計時、店主から仙酔島で一泊するといいですよ、と薦められる。これはまたの機会。
帰り。バス停の近くに貼ってあるポニョのポスターを剥がしたいと思う。腹を下す。