ドアについて

入り口のドアにノブがついている。「押す」とも「引く」とも示されていないとき人がどうするのか、について考えていた日。

基本的に日本のドアは外開きである。外開きのドアは蝶番が外に出ているためここを崩せば構造的にそのドアは開いてしまう。一方、外敵の侵入を防ぐ、という意図の下で西欧のドアは蝶番が内側についている内開きである。おそらく西欧からの輸入の際に起こったこのズレは間取りの問題が絡んでいるのであろう。そのへんは藤森氏がとあるエッセイで取り上げていたような気がする。ただ一つだけいえることは、この日本的外開きドアはトイレに有利、ということである。逆に内開きであるといかなる不利なことが起こるか、というと、あの一畳二畳に満たないトイレのなかで人が倒れた際に救出が困難になるということである。実際そのことで不幸があった友人を知っている。鍵かけてなくてうっかり、という粗相はまあご愛嬌だと思う。そう考えるとドアの設置如何で日本における「外敵」と「救出」のウエイトの置き方が垣間見えるような気がしないでもない。