紙をどうするか

アフォーダンス*1」という概念、というか認知の方法に関して今までその名称だけ何度か出したままになっていたので今回はそれについて。

アフォーダンスとは環境が動物に提供する「価値」のことである。


また

アフォーダンスは事物の物理的な性質ではない。それは「動物にとっての環境の性質」である。アフォーダンスとは知覚者の主観が構成するものでもない。それは環境の中に実在する、知覚者にとって価値のある情報である。


上の二つの引用は佐々木正人アフォーダンス――新しい認知の理論』からのものである。分かりにくいので例示してみる。一枚の紙がある。この紙はある人にとっては「ペンを執って何かを書く」という行為をアフォードし、またある人にとっては「丸めてゴミ箱に投げる」という行為をアフォードする。さらにいろいろな行為がアフォードされ、これらの可能性すべてがアフォーダンスである。そしてアフォーダンスは紙の物理的な性質でも、知覚者のうちで構成されるものでもない。あくまでも環境のうちにある知覚者が見出すものである。もともとの概念と食い違うかもしれないが、僕はこのアフォーダンスとは環境のうちの各事物が持つもの、というわけではなくそれらの構成によって提供されるものであると思う。

この概念を建築へと応用するならば、という点を突き詰めたい。ユダヤ博物館の斜めになった地面が進路をアフォードしている、といえなくもないがなんとなくそれだと面白くないし。

*1:もともとはジェームス・ギブソン(James J. Gibson、1904-1979)によって提唱された