Toshi

なかなか充実した旅行だった。

1日目、六本木ヒルズ・銀座・表参道を歩く。ヒルズの居住空間としての性格はある意味高級ショップのショウウィンドウに並ぶ商品のようだと思う。銀座・表参道は目抜き通りを軸としてヴェンチューリのラスベガスっぽい趣に。道を奥に入ったとき銀座と表参道に差異がでる。表参道の方が生活感が強かった。小学校あったし。森美術館では「東京‐ベルリン、ベルリン‐東京展」がやっていた。分離派の文脈でメンデルゾーンが紹介されていた。この展覧会はやはり「日本におけるドイツ年」みたいなのを受けているのだろうか。

2日目、神田の古本屋街へ。恐ろしい数の本屋さんだった。友人に頼まれた本もしっかり買えたのでよし。ヴォリンガー『抽象と感情移入』、ギーディオン『現代建築の発展』、あとコジェーヴの『ヘーゲル読解入門』(原書)などなど入手。在庫が多すぎたのかダンボール五箱分くらい本が道端に積んであって「無料」と書いてあった。人だかりができていた。僕も混じって現代詩の本、都市の本、アリストテレスの本をいただいた。

3日目、下北沢を歩く。あと東京駅の美術館で前川國男の展覧会がやっていたので見に行く。モダニズムの建築家でありコルブの弟子である(トートロジックだが)彼を若い人はあまり知らないと誰かが嘆いていたのだが、来客はかなりの割合で若い人だった。カタログを入手しておく。モダニズム翻訳+輸入というプロセスに照らして彼を見てみると結構面白いのではないかと思う。同時代のコルブ学徒である坂倉準三とも比較してみたい。

という具合。東京の都市は面白い。神田、御茶ノ水のような都市では本、楽器などがその象徴となり、さらにそのプロセスが可逆的となる。一方の表参道、銀座などはそうした象徴がより漠然としたものになるが、目抜き通りに沿って林立する建物のファサードはより豪華になっていく。ヴェンチューリの言うような「アヒル」と「装飾された小屋」のどちらを当てはめるのかは難しい。これは青木淳が伊東のトッズ表参道の建築を「アヒル」と解釈していたのを受けている。ちなみに青木はケヤキという象徴がその建物のすべてを覆い尽くしてしまったという点をその理由としてあげている*1。でもなあと思うのはこのニ基準がうまく作動しなくなったからだろうか、僕の解釈が悪いからだろうか。うまく言葉にできない。

そうそう、二日目の夜は横浜に住む友人と久々の再会。小学校時代から一緒の友人とは最近あまり連絡を取っていなかったのだけど彼とは比較的よく連絡を取る。今回も懐かしい話とかこれからの話をしつつとても良い時間が過ごせた。ありがとう。

*1:建物を見るとなんとなくわかるが