ブルータスもか

国際系の図書館に『カーサ・ブルータス』が入っていた。自然系には『新建築』もあるしなかなかいい環境になったな、と思いたいのだが各々の建物が遠いのがちょっとやだ。前に触れたエイドリアン・フォーティーの本は山の頂上にある人間系図書館にあるらしい。

新宗教と巨大建築 (講談社現代新書)

新宗教と巨大建築 (講談社現代新書)

五十嵐さんの新書をさっくりと読む。天理教の記述に一章が割かれ、「ぢば」を神聖化する中心性の強い建築体系を提示している。対比的に示される他の戦前に起こった新宗教では土地観はもっとドライで「どこに建ててもいいよ」という感じだったらしい。大戦を軸としてその前後で起こった新宗教の建築形態の対比は面白い。19世紀に起こった新宗教に関して、その建築形態の選択の際、仏教寺院への圧力を視野にいれ、なおかつ国家神道への冒涜とみなされないようにする必要があった。政府の介入でかなりの建物が破壊せざるを得なくなったらしく、こうした「がさいれ」(とは言わないか)の際に必然的に意味づけが必要となってくるのだ。そもそも新宗教の認定自体が不安定で危ういバランスの上に成り立っているため、その在り方を建築形態に表象させることで形態自体も奇妙なものとなる。ただ神殿建築の部分を模倣した細部に意味をつけることで、その全体の是非が左右されたのかと思うとちょっと考えさせられる。もちろん宗教として存立するための手段にもなるわけだが。