バシュラール

もう9月なんですね。

近似的認識試論

近似的認識試論

ユベルマン読書会のために引用箇所を読んでみました。以下走り書き的メモ。

認識とは分類作業であり、カテゴリーを事象へと付与していくことである。最初のカテゴリーをどんどん精密にしていくことによって、前回との結果の誤差が出てくる。近似的認識とはこの誤差を逐次補正し、もろもろの規定のゆれが収束していくところのものを事実としてとらえることである。つまり個人的なカテゴライズを他者のそれとつき合わせ「群れをなして」その客観性を目指すのである。例えば円周率を考えてみると、検証の精密化によって逐次小数点以下が更新されている。注意しなければならないのは、こうした検証が「もともとあるなにか」に向かってなされているわけではないということである。円周率のたとえ終わり。

ただ、こうして精密化していくにつれ、そのカテゴリーからはみでる細部の問題が浮上する。ある概念の包括する範囲である外延と、その中にあるその概念の特徴の量としての内包とで考えてみると、外延を狭めることによって、その内包が逆に増加する。体系的な認識は個別的なものから客観的なものへと進んでいくが、逆に細部の認識は客観的なものから個別的なものへと進む。コンセンサスが得にくいのである。こうしたとき、日常のスケールを細部の検証から排除することが必要となる。いきおい、思考に比べ、現実の方が安定しているという考えが不安定になるのである。

ユベルマンとの対比でもうちょっと読んでみよう。カテゴリーと外延はどのように違うのか、同じなのか。内包と細部、そして誤差の三者の関係性があやふやなのでちょっと注意。ちなみに本は研究室にあります。