藤森モデル

人類と建築の歴史 (ちくまプリマー新書)

人類と建築の歴史 (ちくまプリマー新書)

藤森さん自身が語るように建築初心者向けのちょっと変わった新書。彼は建築の流れを六歩にわけ、普遍→個別→普遍という図式でとらえている。旧石器時代から青銅器時代のはじめあたりまでを第一歩としているのだが、ここまでですでに本書の三分の二が終わる。炸裂する藤森イズムだ。

四大文明を二歩目、四大宗教を三歩目としてここに個別化の発展を見、大航海時代に伴う殖民主義が四歩目で、このあたりからヨーロッパ一辺倒になり、五歩目の産業革命から六歩目のモダニズムで普遍に戻る。

この図式はすっきりしていて分かりやすい。「ケンチク」という機構をこれでもって定式化することもできる。個人的には、視覚をめぐる建築としてパラレル・アーキテクチャーの次元がニョキニョキと派生しているポイントと、それがこの構図のどのあたりで合流するのか(あるいはしないのか)を今考えている。そのためにも結構使えそうなモデルだ。