爆発する空間

空間の世紀

空間の世紀

このなかの浅田彰「空間の爆発」を読んでみた。対象となる時期は18世紀末、ブレ、ルドゥ、ルクーの三人が「革命建築家」として建築界に登場する頃にあたる。イタリアのピラネージも同時代人としてちょっと登場する。

表象のシステムの内部におさまっていた空間がその枠を打ち破る、このモメントを彼らに見るというのが浅田論文の骨子だと思う。古典主義ともゴシック・バロックといった既存の建築言語から隔たった、どこか異様でさえある言語を生み出した彼らの試みが、その枠組みを内破させることとなったのである。

この日のエントリに写真を載せていたのだった→[ブログまでブログ:建築とジャーナリズム

とてもすっきりとして読みやすい。のだけど思想的な側面のみを論じているので、メディアの話は出てこない。対照的に中谷さんの『セヴェラルネス』に収められているピラネージ論では彼がリトグラフを使用したことに突っ込んで論考が組み立てられている。ドローイングを刻んだ版に上から「加刻」するというプロセスがフロイトの「マジックメモ」とのアナロジーで語られたりしているのだ。このように、制作者がまさに作っている局面をどう示唆できるかというのも注意しながら書き直してみよう。