食事会

今日は試問でお世話になった建築の先生と、担当の先生と三人で食事をした。前々からの願いがちょうどこのタイミングで(発表前)かなった。ありがとうございます。

とりあえずこの前の試問で話しきれなかったこと、次の発表以後の見通しとその際のポイント、建築の実践へと進む上での心構え、などをお話することができた。元町の「卓」(たしかこんな名前だった)という蕎麦屋だったのだが、辛味おろし蕎麦が非常においしかった。劇的にからかったけど。

○パヴィリオン
パヴィリオンの分析においてのキーポイントを何点か指摘していただいたが、とりわけ大事なのは、この建物の持つ二重の特殊性をどう消化するかと言うことである。まずパヴィリオンそのものにおける特殊性が一方にあり、他方には建築史上において特殊な受容形態を持つパヴィリオンのそれがある。前者のそれは、ものすごーく単純に言ってしまうと、カーンの言葉「すべての建築は家である」という定式から抜け出る数少ない例外であることだ。これと後者とのつながりをシンプルに原因と結果とすることはかなわないし、じゃあ、というその方途を示さねばならない。これはいわば立ち位置をしっかり決めなさい、というアドヴァイスでもあっただろう。

ルイス・カーン建築論集 (SDライブラリー)

ルイス・カーン建築論集 (SDライブラリー)

○実践に向けて
これは聞いててすごくためになり且つ面白かったのだが、どれだけ学校の勉強を頑張っても「スケール感覚」だけは学んで身につくものではないらしい。今自分が描いているドローイングが現場で実際に立ち上がったときどのようになるのかをつかむ能力のことである。ル・コルビュジエ丹下健三なんかは天才的だ、と先生はおっしゃっていた。安藤忠雄は小さいのはいいけど大きくなると薄まる、とおっしゃっていた。空間のコントロール能力とでも言い換えるべきだろうか。これは図面と実体との関係性を巡る問題でもあるのだが、宮大工なんかは原寸大の図面を書かない限り把握したとは(できるけど)思わないらしい。慣れの問題でもあるのだ。向上のためには、実際に人のプランをトレースし、模型にして、感覚的に空間を立ち上げ、実際にそこへ訪れてズレを補正することがいちばん、とのことだった。

この時期にお話を伺えて本当によかった。