今日は一日中製図だった。目が疲れる。

たしか『GA』最新刊だった気がするのだが、ミッドタウン関連の対談が載っていた。隈研吾二川幸夫鈴木了二の三人が隈氏の「サントリー美術館」に関して鼎談している。

上の画像のちょうど真ん中あたりにある縦のライン(ルーバーという)が特徴的な建物がサントリー美術館である。
二川氏はミッドタウンのプロジェクトが「失敗」だと断言し、でも緑地が多いのと安藤さんと隈さんの仕事はまだいいから救いはある、と述べている。この鼎談、二川氏の欲が垣間見えるようで面白い。

彼の不満はこのプロジェクトをリードする個性が存在しないことにあるようで、節操なく立ち並ぶ高層ビルが気に入らないらしい。サントリー美は店舗区域にかぶっているがために二川氏の逆鱗に触れている(その点安藤氏のプランは地の利がある)。国有地最大規模のビッグチャンスをみすみすSOMに・・・という怨念が聞こえそうなのは気のせいだろう。防衛庁跡地開発といういろいろと気合の入る物件だから責任を分散させようという目論見は間違いなくあっただろう。複雑化した出資者とその資本や権利が曖昧なままプランが進んでいたのが気に入らなかったともいえるだろうか。森稔という個が強かったヒルズとは対照的だ。

こうした形式的なレベルだけでなく、二川氏の舌鋒は隈氏の手法にも及ぶ。インテリアはよい、と前提した上で「外観のルーバーが細すぎる」と批判する。この細さで勝負したという隈氏に対し、この手の外観は他の棟でも見られるから隈氏がそれと同じ土俵に並んだところで埋没してしまうのがオチと切り返す。き、厳しい。大前提としての「周囲の失敗」が常にあるのだ。

周囲の環境との折り合いを差し引き、隈氏らしい「過剰さ」を軸にして評価しようとする(つまりインテリアをもっと見ていきましょうと言う)鈴木氏の微視的な解釈と対照的に、あくまで全体としてのプランを念頭に置く二川氏の巨視的な解釈は写真家としての性格がそうさせるのだろうか。二川氏をなだめようとする隈氏を鈴木氏がずっとフォローするという、なんだか不思議な話し合いであった。