レクチャー建築意匠

無有

無有

手がけた建築物が100を超えたということで自伝を書かれた竹原氏の出版記念講演。三条のVOXビル4階で6時からの開始だった。クラスメート何人かと一緒に参加したのだがうちの学校からは他の参加者はおらず、それでも約4、50人が20帖無いくらいのスペースに入っていたので結構な密度だった。

アルコールのはいった竹原氏の語りっぷりは傍目にも楽しそうに見えたのだが、質疑応答の頃にはほとんど真意を量りかねるものになっていた。一応のテーマは「旅」ということだったのだが、氏の口からはインド、イラン、トルコといった地名が並び、映し出されるスライドはルドフスキー『建築家なしの建築』に出てきそうなものが多い。必然的に且つ自然に出来上がっていく建築が時間軸の中に置かれ、そこでどのような生がなされたのか。氏の建築観には建築が生きる時間に対する着目が感じられ、「朽ちていく」という魅力を顕在化させようという試みが垣間見られる。

建築家なしの建築 (SD選書 (184))

建築家なしの建築 (SD選書 (184))

あらゆる形態には表と裏がある。その表裏に差を作り出し、表面に表情を与えるのは光である。これはそのまま開口の取り方やそこからのパースペクティヴへと問題が移っていく。こうした氏の関心のあり方は様々な形で自身の建築へとフィードバックされるだろう。今回の講演会で唯一残念だったのは氏の建築物が少しも紹介されなかったことである。

講演会終わりに近くの居酒屋でごはんを食べた。ダイワハウスコンペの参加者も少しずつ増えてきた。