「環境」についての雑感

通信技術が発達した状況をさしてそれも「環境」だから議論すべきであり、建築に取り込むべきである。という僕の意見は結構にわがままだと思う。もちろん発表者や司会者の側にこれを問題視する素振りが見えたからこそのことだが、この現状にあえて関与しないという態度もひとつの手ではあるだろう。ただ、今のところ身体性を欠いてあるヴァーチャルスペースから重力の支配する空間へと移行するとき、その反動として、触覚をフルに利用させるようなテクスチャーに富んだ空間があっても面白いのではないかと個人的には思っている。ツルツルピカピカした、あたかもヴァーチャルスペースへと近づいていくかのような空間のあり方を否定するわけではなく、これもワンオブゼムとして選択的に使い分けられるような、自由度の高さを空間に持たせたいとも思っている。「素材」に興味をもって、新しいプロダクトを紹介しているのもそういう理由からである。