ビルディング・タイプ
- 作者: 五十嵐太郎,大川信行
- 出版社/メーカー: 王国社
- 発売日: 2002/12
- メディア: 単行本
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A History of Building Types (A. W. Mellon Lectures in the Fine Arts)
- 作者: Nikolaus Pevsner
- 出版社/メーカー: Bollingen Foundation
- 発売日: 1979/12/01
- メディア: ペーパーバック
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- 作者: ミシェル・フーコー,Michel Foucault,渡辺一民,佐々木明
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1974/06/07
- メディア: 単行本
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以前住宅の問題に関してエントリを挙げ、山本理顕氏の空間帝国主義的建築観「空間の特定の配置にあわせて人間の生き方がつくられる」を引いたのだが、こうした考え方から「ビルディング・タイプ」という概念をうまく説明することができるだろう。つまり個々の建築が具現化する社会的な枠組みとしてのシステムから建築の類型化を図るという具合に。本書では「教育」「生産」「矯正」「収集」という四つの章から、それぞれ教会、学校(第一章)、倉庫、工場(第二章)、監獄、病院(第三章)、動物園、万博、パサージュ(第四章)が論ぜられている。
- 作者: W・ベンヤミン,今村仁司,三島憲一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/06/14
- メディア: 文庫
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たくさんの図版が収録され、それらを見ているだけでも面白い本書のなかで最も読むべきはやはり最終節だろう。ぺヴスナーの著書が社会的考察を欠いていたこと、フーコーの監獄論が図式的で静的な構図にとどまっていたこと、等に対する批判として最終節「パサージュ」でベンヤミンの視座を提示する。「パサージュ」という語の持つ「移行」等の力動性、ならびに「ある地点とある地点とをむすびつける敷居」という性格などを挙げつつ、「ビルディング・タイプ」間を横断する視座を持とうと述べる。これはつまり、一望監視的空間である「監獄」が、それとはまるで異なった受容のされ方をする「病院」と構造的にきわめて近接しているといった、かつての「様式論」からは検証されがたい点を知るための試みとなるからである。ベンヤミン的なズレを伴った動的な視座によってさらにこの検証方法の可能性を広めていくこと、こうしたことを最終節から読み取ることができる。「様式論」のようにそれ自体が目的化することを避けるためにも、検証手段としての「ビルディング・タイプ」からのアプローチを心がけてみるべきだと思う。