パティオス11番街

先日唐突にスティーヴン・ホールについてエントリを挙げたのも、幕張に行ったときパティオス11番街を見てきたからであった。
「パティオス」というのは幕張新都心におけるレジデンスエリアの一部を占める集合住宅群のこと。1〜18番街まであって「『住みたい街』首都圏No.1」みたいです自治体が埋立事業や都市インフラの整備を終えたら住宅事業者(ディベロッパーのことかな)に投げるという一般的な流れとは異なって、幕張新都心ではある程度ディベロッパー的役割まで自治体(千葉県企画庁)が担っているらしい。名づけて「幕張方式」と言ったり言わなかったり。ベルリンをイメージしたこの都市の特徴としては、板状の棟が緑に囲まれる団地型を脱却して、街区の道路に沿うようにして外壁面が連続する沿道型になっているところにある。

『10+1』第一号、米田明「『周縁都市の将来』――幕張」からパティオス11番街の画像引用です。図面で見ると「沿道型」がよくわかります。おそらくこの時点から幾分かの修正がなされていると思う(か見落としか)。南側の物体は一体なんだろうか。上は西側立面図。下が一階プラン。

こっちが全体アクソノメトリック。ああ、内部が見たかった。自ら住むか在住者と仲良くなるかしかないな。

ちなみにこのパティオス11番街の近くにはこれもまた先日エントリを挙げた坂本一成設計の4番街があって、中庭がポイントらしいのだが、中がほとんど見えなかった。中庭まで比較的自由に出入りできるのはこの11番館唯一(多分)といっていい。





靴の泥を落とすマット!できたら替えていただきたいのですが・・・





プレーンな幾何学とも違うし、可塑的な造形とも違う。曰くいいがたい「すんでのところで止めている」ような形態が彼の建物の特徴である。移動するにつれて新しいかたちが生成する、とまではなかなかいかないものの(内部が見えないこともあるので)マッスの組み合わせ方、開口の取り方によって光と影のコントラストが際立っているという点に、他の棟との相違点を見た。
ティーヴン・ホールの戦略に関しては彼自身様々な著作で自ら論じているようなので、一度しっかりと読んでおこうと思う。ディテールと一口で言えないような、「隙間」にこだわるようなところが彼にはあって、その点で鈴木了二氏と類似するような気がするのだがどうなのだろうか。