九坪ハウスのこと2

前回のつづき。
ではこのシステムがどのように動くかということをまず。そのまえに整理しておくと、複数の住宅の各々の一室とそこに接続された九坪ハウスとでこのシステムができています。図示すると下のようなかんじ。接続(寄生?)するのは二棟だけに限られないし、上下二層(一応二階建ての予定)でやれば結構たくさんの住宅とつなげることもできます(原理的には)。これは状況にそくしてそのつど決めればいいでしょう。

いわば各住宅というシステムにこの新しいシステムがオーヴァーラップするというかんじです。どなたかがすでに試みられていてもおかしくないのだけど…(情報求む)これで例えば娘の結婚に伴って片方の住宅で一室が足りなくなれば、今空きになっている(あるいはコモンスペースのようにしてもいいかも)九坪ハウスを夫婦のための空間にしてもいいと思うし、彼らに子供が出来たときには別にあいている一室を使うことができます(このときちょうど彼ら夫婦の空間は上の図の青い部分と重なります)。そして最終的に九坪ハウスにつながる室が一定数を超えて空いたときは、ここを集合住宅(下宿のような感じ)にできたら面白いかもしれない。

空間をリストラクチュアリングする際、その自由度を高めるために可動式間仕切りが使われたりします。ちなみにダイワハウスコンペの自案はこの方向でした。でもそれとはまた別のリストラ方法を考えてみようということでこのシステムを提出したわけです。個別の住宅で完結しがちな前者に対して、後者では九坪ハウスを介して物理的につながっているそれぞれの住宅の状況が各々の住宅のリストラクチュアリングを規制します。でもこれは必ずしもマイナス要素ではないと思っていて、というのもしばしば望まれる「共同生活」という漠然とした(そして大体お仕着せの)理想状態より、「何かを共にする」という具体的な状態のほうが自発的に且つ気楽に「お隣さん」を意識しやすいのではないか、と(なんとなく)思うからです。「共同生活」を目的にするよりは、より快適な生活のために「何かを共にする」べきなんじゃないでしょうか。


つづくかもしれない