レクチャー建築意匠

京都VOXビル四階で行われてきたレクチャー建築意匠も今回で最後。最終回(第7回)は「持続可能性」サステナビリティについてでした。ちなみに第6回はこちら。講師は京大の大窪建之さん、ゲストは「アートアンドクラフト」の中谷ノボルさんでした。

みんなのリノベーション―中古住宅の見方、買い方、暮らし方

みんなのリノベーション―中古住宅の見方、買い方、暮らし方

ゲストの中谷さんの本。その依頼の大半がリノベーションやコンバージョンだそうで、それ以外にもゲリラ的に橋の上をカフェバーにしてみたり、水の上をカフェバーにしてみたり、キャンピングカーをデザインしてみたり、していらっしゃるようす。個別の住居を変化させるだけでなく、ある場所の見られ方やそこを訪れる人の認識の仕方をうまく裏切っていく仕事なのかも、と個人的にお話をうかがいながら思いました。「過去とのコラボレーション」という大窪さんメイドのナイスキャッチコピーをメモる中谷氏。すごく楽しそうに話されるのが印象的でした。

Arts&Crafts

※おもしろそうなページ発見。「INAX Renovation Forum」→中谷さんがゲストで参加されてる第2回リノベーションフォーラムのテキスト

そして大窪さん。「デザインとかかわる人たちは、どう環境と向かい合っていくのか」という若干かたいテーマでした。豊富な例示がありましたが、ざっくりと印象的だったことをまとめてみると、こんな。デザインが環境に対してできることは、直接環境にかかわることのみならず、ヒトと環境との間にあるつながり(チャンネル)を可視化することである。例えばリノベーションやコンバージョンによって音楽ホールになった元ごみ焼却場は、観客がその壁の厚さを実感することで今まで行われてきたごみ焼却(環境にかかわるプロセス)のあり方に思いを寄せることができる、というように。
リノベーションやコンバージョンが面白いのは、もとからあるかたちを一種の規制として受け止めることによって、常に一定の「ローテク」にならざるを得ないからでは、と思います。現実的にはヒトと環境との接点をまったく見せなくする「ハイテック」さだってできるわけですが、今あるものを残すことに可能性を見るとともに、その「ローテク」さによってチャンネルを可視化させる方向に可能性を見ることもできるでしょう。