PLANNET

今日は名古屋唯一の建築専門書店「PLANNET」さんへ

故大島哲蔵氏による「SQUAttER」の蔵書が残る魅力的な本棚。大島氏によるドナルド・ジャッド『建築』の邦訳を入手(amazonだと買えないよ)。
ちなみに「PLANNET」さんの場所はココ
ヒトや情報がなぜか滞留しづらい名古屋という地にあって、こうした専門書店をながく続ける困難さは計り知れません。店主の岩田さんのお話からは名古屋の建築的「窮状」がうかがえ、それが思った以上であることにちょっとした衝撃を受けた。新しい技術の発展によって中心も周辺も無くなりどこでも等しく情報が得られるようになったというのは一面では真理だろうけど、ここまで東京にヒトが一極化すると他所で「東京と同じ情報を得ること」の意味が問われてくるように思います。明日の東京の講演会情報とか京都で受け取ってもあまり現実感がないし、それは呼びかけというよりただの情報でしかない。そうした「ただの情報」を入手する機会が増え、物理的なビハインドを感じることも増えた。建築という職業がクライアントを必要とし、東京でしか存在し得ないクライアントがいることを意識しつつも、こうした一極化を分散させるような地方の状況には敏感でいたい。これが可能になるのもやっぱり新しい技術に負うところが大きいのであった。状況を恨むのはよくない。
さて、個人的なヒットは以下

  • Achille Castiglioniの写真集
  • Sigurd Lewerentzの『The Dilemma of Classicism』
  • グルスキーの写真集
  • リヒターの写真集
  • コーエンとノイマイヤーによるミースのアンソロ(なかなか売ってない!)
  • 20世紀のデザイン集

素材の美学―表面が動き始めるとき… (造形ライブラリー 02)

素材の美学―表面が動き始めるとき… (造形ライブラリー 02)

ちなみに二冊目の『古典主義のジレンマ』はこのビライの本でも取り上げられてます。冒頭でのジャッドの本も。ビライの平易だけどちょっと思わせぶりな本書は読書案内としても結構な魅力を持っていると思います。
スクウォッター―建築×本×アート

スクウォッター―建築×本×アート

そしてこちらが大島氏の評論集。一番初めに読んだA・ヴィドラーについての評論が氏のものだった。「不法占拠者」を意味するそのタイトルからは、上に述べた東京一極化に対する何かしらのヒントが得られるかもしれない。物理的な地域、業界、サークル、こうした「世界」において定着する/しないの中間で半腰になってるような、そういうフットワークの軽さは「一面では」常に持っていたい。食い散らかして跡はくらませ、ってわけでなく。
そうそう
「第二富士ホテル」前の歩道橋を渡り栄方面に歩いていくと、右手に自家焙煎されているコーヒー屋「ダイア・コーヒー」さんがあります。コーヒー1杯250円は安い。しかもおいしい。ボリューミーでお菓子までついてますよ。