アトリエ・ワン/千葉学 講演会

18:30スタート。満員の盛況で教室がオーバー・キャパシティしていた。
アトリエ・ワン(貝島さん)さん
ペット・アーキテクチャーから、それ以後の「アート作品」を紹介しつつ、最近の「ビヘイビオロジー(ふるまい学)」の概説。「マイクロ・パブリックスペース(小さな公共空間)」など興味深い用語が出るも、20分という短い公演時間のためかなりさっくりめに話が進む。まとめは「ふるまい」について。以下箇条書きで。

  1. 建物のふるまい―都市を背景にして
  2. 建物のなかでの人のふるまい
  3. 空気、光など自然要素のふるまい―どうふるまわせるか

長めに取られた質疑応答では個人的に「アートする目論見」を聞いてみた。返答はこんなかんじ。建築とは条件が違うから思っていることが表現しやすい。実験のような感じでやっている。などなど。彼らのアート作品はそれ自体空間的だったり、ちょっとした都市への批判になっていたりするように感じていたのだけど、貝島さんの話しっぷりからは割と自作へのフィードバックを意識しているようにも感じた。にしても一言めが「呼ばれたからやってる」だったのは可笑しかったけどちょっと困惑した。はぐらかされたのかしら。
千葉学さん
「3000枚ものスライドを用意してきた」らしい千葉さんも20分。展覧会テーマ「そこにしかない形式」の概説がメインで、途中七里ヶ浜「ALLEY」の説明の際に出た「建築というか敷地をデザインしている感じだった」という一言は面白かった。

  1. site dominant:モノがドーンとそこに居座る
  2. site adjustment:モノがその場所にあわせる
  3. site specific:モノがその場所に特化している
  4. site determinant:モノがあることでその場所が「発見」される

以後勝手に推測。千葉さんが参照されたこの4区分(出典不明)のなかでも、とりわけ「site determinant」が強く意識されていることが先の一文からも分かる。「そこにしかない形式」というとどうしても2)3)あたりを指しているととらえてしまいがちだけど、1)2)3)では操作対象として「そこにおかれるもの」が位置しているのに対し、4)ではむしろ「おかれるもの」による「おかれる場所」の操作が意図されている点に着目したい。ある「なんてことのない」風景の、実は「なんてことのある」シーンが建物によって「名指され」(上では「発見」にしたけど)ていくような、そういうあり方(形式?)こそ「そこにしかない形式」といえるのではないだろうか。「均質化する」現在においてアクチュアリティのある話だなあと思いながら聞いていた。

千葉さんの質疑応答でとりわけ面白かったのはこのふたつ。まずは「あえて感じを変えるためにペンをかえたりする」というお答えと、「近い目標は何ですか?」という質問に対する「明後日自転車のレースなのでそれに勝つことです」というお答え。