建設業と環境問題

学校の課題ネタ。「建設業と環境問題」というお題で夏休みの宿題が出ていた。
基本的なメッセージはシンプルに。

環境問題を社会的な諸問題との関係性の中で相対的にとらえることであり、広い意味でのコストとリターンとのバランスを見定めながら優先順位をつけることが大事。

「広い意味でのコストとリターン」というのは、経済的な意味にとどまらない資産としての資源等を考慮に入れ、今あるものの利用法(キャパシティ・マネジメントとか)までを含んだ言い方。要するに「エコ」を掲げて具体性を欠いた自己満足に陥ったり、「環境問題の真偽」に過剰に拘泥するのは不毛であって、「環境問題」とか「エコ」とかがなにかしらワンステップをうながすものとなれば嬉しいなという話である。
そして建設業に絞ったメッセージはこうだ。

ハード面の対策に頼るのではなく、ソフト面の整備をうながすものとして「建設」というカードを切ることが肝要であり、「あえて建てない」という選択肢も必要ではないか

先のメッセージで述べたように、環境問題も社会的な諸問題のうちのひとつであって、一番大切なのは問題が解決されることである。温暖化の解消という(うまくいくかわからない)回り道に莫大なお金をかけるくらいなら、その何百分の一のお金で直接的な対応策を「とりあえず」出したほうがいい。先日触れたアフリカで売れる住友化学の蚊帳の話はこの例だった。そしてこの例が教えてくれるように、大事なのはハード面の整備を目的としてしまうことではなく、人為的なシステムの構築方法にある。

宇宙船地球号操縦マニュアル (ちくま学芸文庫)

宇宙船地球号操縦マニュアル (ちくま学芸文庫)

環境問題と共に口にされる「宇宙船地球号」というどうも過度にファンシーな意味が込められたフラーの言葉は、もすこしシビアにとらえられるべきだろう。フラーが言いたかったのは船そのものの整備とか延命じゃなく、エネルギーは有限だということを適切に表現したかっただけだろう。彼の代表的著作のタイトルは、「宇宙船地球号」の「操縦マニュアル」であって「整備マニュアル」じゃないのである。