新梅田シティ

新梅田シティのこと

ヨドバシ梅田の西側から地下道を出ると見えてくるのがこちら。梅田スカイビル空中庭園展望台ダイハツディーゼル本社・工場跡地があったところをエリア開発して1993年にオープンしました。オープンから15年。だんだん大阪駅西あたりも開発されはじめております。
まずさっくりとした断面図を。

ランドスケープの授業で「グランドラインの操作をチェックすべし」と言われて以来気になっておりましたが、おおよそこのようになっていると思われます。スカイビルにはいるオフィス関係者、ウェスティンホテルへの宿泊者などなどでたくさんの人を収容しなければならないため、駐車場も大量に必要。ということで地下部分は基本的に駐車場になっています。たとえばウェスティンホテルでは地下1〜3階までが駐車場。一方スカイビルのほうは地下2階が駐車場で、地下1階は「滝見小路」というレストランフロアになっております。

庭と水盤。地下にあるレストランは大抵景色の点でビハインドを抱えますが、新梅田シティでは庭(「中自然の森」断面図向かって左側)を地下レベルまで下げることでこの問題に解を出しています。つまりレストランフロアと庭とが同じレベルにあるわけです。新梅田シティの中央部にあるため敷地外のボリュームは天井高の操作によって視界から消せますし、これは高層ビル最上階にあるレストランとはまた異なった都市内景観を提供してくれます。植物の状態もなかなかよさそう。

ちなみにこの水盤の下がレストラン。夜になるとこの柱の上部からドドドっと水がでます。それが滝になるという寸法。

こうなります。ただ惜しむらくは各レストランのつくりで、どうもこの景色が死角になっているんじゃないかという席もありそうでした。通路側に調理場を持ってこれば作っているところを見ながら店に入れるし、どの席からも景色を楽しめるのではと思うんですけどね。

この庭(「中自然の森」)の西がウェスティンホテル。一方で東にはガーデンファイブなる建物が。ここはオフィス棟かな。

スカイビル。真ん中をたっぷりヴォイドとして吹き晒したのがまずすごい。容積率にこだわるとどうしても六本木ヒルズ森ビルのようにずんぐりしたヴォリュームになりがちですが、棟を分け、上部をつなげるというドラマティックな形態で梅田スカイビルはモニュメンタリティを獲得しています。ただ分棟にも難がないわけでなく、例えば丹下さんの新都庁舎では東西ボリューム間のつなぎが氏のオフィスでは重要なトピックとなっていたらしい(『磯崎新の都庁』にそう書いてあった)です。とはいえそもそも各棟に別々の企業なりが入れれば問題はないのですが。実情はどうなってるのでしょうか。

そしてこれが断面図右側にある庭。地上にあります。中自然の森あたりからスカイビルごしに北を見たときのアイストップにもなっているのではないでしょうか。これがなかったら大阪中央郵便局共通事務センターのモダニズムファサードがドーンと見えてきます。里山を模しているのが特徴的なこの庭には畑や、かかしまで、あります。おそらく水はけをよくするためかと思いますがちょっと勾配がかかってるように感じました。これは中自然の森でも同じ。スカイビル3階、展望台までのエレベーターホールへ続く通路がこの庭に面していたのでそこからの写真。ちょっとガラスが反射しております。

エレベーターから展望台までのエスカレーター。考えてみるとすごいところにあります。

エスカレーター内部

展望フロアが2層(屋上もあわせるとさらに1層)になっているので、それぞれに異なった展望が楽しめます。ベンチになった純粋階段が置かれておりましたが、これが意外と人気そう。1メートルちょっと視界が高くなるだけなのに不思議な求心力を持っているようです。

設備系のなにかごしに大阪


と、新梅田シティの様子をさくっとご紹介いたしましたが、今回の見学で興味を持った点を箇条書きにしておわります。

  • 建築部分を敷地境界線からセットバックさせて(おそらく容積率のボーナス分を)高層ボリュームをつくる
  • そしてその高層ボリューム自体をランドスケープにする
  • 高層ビルの高層階複数を展望台として利用することで、異なった展望を提供する
  • 地下部分に庭を引き下げ、地階からの景色を独特のものにする
  • 植物の状態を常に一定水準に保っておく
  • 隣地との境目を緑化し、アイストップにする