旧カブトビール工場―その2

5月3日の旧カブトビール工場一般公開。前回からの続き。今回は内部も。

貯蔵庫、の階段
進入禁止ゾーン。でもこの奥まってひっそりした暗さはどうにも魅力的だ。たとえばここに書架がならんでいて、あまつさえ本が読めたりでもしたら、もうたまらんだろうな。
ちなみに建物内部では以下のような催しが開かれていた。

  • この建物をモチーフとしたコンペの入選作品展示
  • 「半田山車祭り」の山車のミニチュア展示
  • カブトビールにまつわる展示
  • この建物の紹介(所有者の変遷、構造等等)
  • 妻木頼黄(よりなか)についての紹介
  • レンガの体験コーナー
  • 赤煉瓦倶楽部半田による保存改修提案プラン
  • 喫茶
  • 物販(復刻版カブトビールなどなど)

元貯蔵庫は展示スペース、元瓶詰め(等)スペースは喫茶や物販に当てられている。設計者妻木についての紹介なんかでは広島での臨時議事堂の話なんかもあり面白エピソード満載だった。が、マニアックでもある。そしてやや文字が多すぎるような気もしなくはない。

一階の天井=二階の床
さらにマニアックなはなし。貯蔵庫部分の天井を見上げると、このようなかたちになっている。アーチになっているのだ。だから二階の床もアーチ状になっている、はず。ちなみに以下三種類のアーチがある。

  • 二枚重ねのアーチ
  • 二重だけどリズムが半スパンずれているアーチ
  • 二枚重ねアーチの上に二重アーチをもってきた三重アーチ

一般的に赤煉瓦建築では木材の床が使用されるのだが、ここでは床も煉瓦だ。耐火のためだそう。ここまで聞いて、アーチ床のふみ心地がいかがなものか気になる向きもあると思われるのだが、残念ながら二階へは立ち入り禁止となってしまった。強度の問題だそうだ。残念。

ハーフティンバー側。手前が物販で奥は喫茶
煉瓦棟に比べ耐久性に問題のある(らしい)ハーフティンバー側には補強材として鉄骨が入っている。既存煉瓦建物の補強方法としては、こうやって内側から骨を入れてあげるもののほかに、煉瓦と煉瓦の間の中空層に鉄筋コンクリートを入れてあげるものなんかがある。とはいえ、簡単に想像できるように施工はものすごく繊細なものとなるため、お金がかかるそうだ。

重文登録の例のプレート。緑青はふるい煉瓦と相性がなかなかどうして
来場者は毎回の公開で何千人に上る。見たところ子供づれの親御さんや、孫からおじいちゃんまで一家総出で遊びにこられている方が多そうだ。今回の公開では大学や高校からスタッフが出ているようで、物販、ガイドともに層が厚くなっているように感じられた。

煉瓦の壁と草
緑との相性もばっちり。廃墟の何にグッと来るかというと、少なくとも個人的には、この朽ちた素材と緑の相性のよさだと思っている。ここでご飯食べたりしたらおいしいだろうな。

隣の住宅展示場から
隣の住宅展示場でもやっぱりイベントが。赤煉瓦の入場者はここを出るとつらつらーっとこちらへ向かっていった。曲りなりにも広場があると楽しいな。明るいし。

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ちなみに次回は7月くらいに公開予定とのこと。お近くにお立ち寄りの際はぜひ。