舞鶴

まいづるまいづる。いい響きだなまいづる

これはもうキメの構図だな、戦隊モノっぽい
舞鶴赤れんがの特色は群である。先日紹介した旧カブトビール工場は異なった構造形式が共存してはいたものの棟はひとつだった。舞鶴赤れんが倉庫群、という名前が示す通り、舞鶴の赤れんがはいくつもの棟が群れているところに特色がある。長い棟がポコポコと。上の写真は下のマップ真ん中にあるシェイプの様子をうつしたもの。向かって右は「舞鶴行政博物館」、そして中が「まいづる知恵蔵」、奥の6号倉庫と左の7号倉庫は現在改修計画が立てられているところ。

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マップの説明。右のポイントが「舞鶴赤れんが博物館」、ここは日本で唯一のレンガミュージアム。それとこの一体で唯一(?)の鉄骨煉瓦造。それから左のシェイプは工事中の赤れんが。赤れんがパークなるものになるそうだ。赤れんがパークに。仮称だなきっと。あ、見切れてるシェイプも赤れんが。海上自衛隊の施設らしい。なんたってこの辺赤れんがだらけだからマッピングしてくときりないな。

左が知恵蔵、右が6号倉庫、奥が7号倉庫ですね
というかそもそもなんでこれら倉庫が群れで残っているのか、と思われる向きもあるだろう。ここはもともと1900年はじめに建てられた海軍関係の倉庫群だったそうだ。あ、これではなんで残っているのかの説明にはならないな。以下アフタービフォー。

  • 赤れんが博物館:魚形水雷
  • 舞鶴市行政記念館:予備艦兵器庫
  • まいづる知恵蔵:弾丸庫並小銃庫
  • 6号倉庫:雑器庫並預兵器庫
  • 7号倉庫:第三水雷
  • じき赤れんがパークのあたりの3棟:需品倉庫(だろう)

延べ8棟。これで「国の重要文化財 舞鶴赤れんが倉庫群」。近代化遺産だ。この近代化遺産というのはなかなかに耳慣れない言葉だろうけれど、ようするに「建造物を中心として、稼働していたシステムを包括的にとらえ」ている点に特色がある。単体ではないわけだ。そしてその対象には「江戸時代末から第二次世界大戦が終わるまでに、欧米の先進的技術や構(工)法、材料を用いてつくられた産業、交通、土木に関わる建造物や土木構造物のほか、金融、教育、文化等にかかわるもの」(日向進「舞鶴の近代化遺産」『舞鶴の近代化遺産』)が挙げられている。軍港都市である舞鶴のこのエリアもここに含まれるわけであって、この視点の発見は少なからず「なんでこれらが群で残ってるのか」を説明してくれるかもしれない。

えっと、、これは、、6号倉庫か
建物を見ていこう。庇がもげた跡がある。柱型まで欠けているということは、この柱型はそもそもいらないということか。そもそも純粋なレンガ造に柱型・梁型っているのか。そもそもが重なったな。そもそも。気になったので色々レンガ造の建築物を見てみると、写真でだけど、柱型は概ねある。前回紹介した旧カブトビールのレンガ造部分にも、スパンはもっと長めだが、ある。ただ二階床レベルに梁型がこれほど直截的に表現されている例は、意外な事にあまりない。なんでだろう。

これはまいづる知恵蔵かな
煉瓦の積み方はイギリス積み。長手の列の上に小口の列、長手の列、小口の列、長手の列という具合に積んでいくイギリス積み。一列が長手、小口、長手、小口、となっているのがフランス(フランドル)積み。ちょっと説明が難しいな。赤れんが博物館で実際にイギリス/フランス積みが体験できるブロックがあるので、ぜひおすすめ。ばかにしてないでやってみて意外と面白いから。

行政記念館、のはず!やばいちょっと自信がなくなってきた
きた、きたよ寄生植物。この茂りっぷりいいね。これがあるから古い建物探訪はやめられないね。ポストのことで何か言うと思った人、残念。でもいい取り合わせだよねレンガとポスト。

これも行政記念館、だったと思うんだけどな
窓の下に開けられたおそらく通気口は、今植物に寄生されていますよ。

これは7号倉庫ですよ
この7号倉庫にだけ地上面から1メートルくらいのところに黒いラインが入っていたのだけどなんだこれは。目印か。なんのだ。ちなみにこのラインは窓の下端と同じレベルになっている。ここ7号倉庫だけ他の倉庫よりも若干せいが高いことを考えると、装飾かもなとも思う。根拠はまるで無いけど、梁型ももしかしたら装飾なのかも。黒ラインと梁型は同じ意味だった、とか。どうだろう。

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「歴史の生き証人」という視点がそそのかしたのかどうかはよく分からないが、なんてことなくこれら赤れんがが街に残って、機能は変われど(変わんないのもありそうだけどここだと)いまだ使われている。建物は残りさえすれば何かには使われるのだなたぶん。いいわるいは別として。さて次回は内部です。