白根山湯釜

四月

白根山の火口湖は湯釜になっている。観光地化されているが、硫化水素ガス発生のため立ち入りが禁止されている。だからこの写真をとったところが見える距離では一番ちかいところ。ここでいろんな人たちが思い思いに写真を撮っている。

三徳山投入堂のときもそうだったけど、向こうの方になにやら尋常じゃない何かがある、という状況が僕にとって興味深いのは、それが「向こうの方」にあるからだ。山の頂がうまいこと削れてそこに水面が張っているだとか、崖の一部がえぐれてそこにお堂が挟まってるだとか、普通おかしいよなこれと思う景色が、ちゃんとおかしなことととして成立するためにその距離感が必要なのだ。
なにやらおかしなことが、ちゃんとおかしなことのままであるということに(個人的には)用がある。西行の「何事のおはしますかはしらねども」じゃない。ちゃんと見えている。でも、それがなにやらおかしなことになっている、もどかしい!という空間体験がもっとあればいいと思う。