話したことから思ったこと

28日京都入りは22時半過ぎだったのでトラフ展オープニングはすでに終わっており、みんなパークカフェにいるとのことだったので、パークカフェへ行くと、ずらっとみんなが飲んでいた。お隣に座った方が「かみの工作所」の山田祥子さんだった。今回の展覧会の基となった「空気の器」はトラフと「かみの工作所」さんとの共作。

「おしらせ」にrep|トラフ展「inside out / outside in」情報があります。ちょっとおしらせ。

ウェブサイトを見るとわかる通り、かみの工作所は半世紀もの歴史を持つ福永紙工さんが2006年からスタートされたひとつのプロジェクトだ。ディレクターの萩原修さん、多様なデザイナーとの協同により「一枚の四角い紙を加工して生まれるオリジナル製品」を思考し続けている。一般的に印刷屋さんの領分だと想定されるようなグラフィック面での操作にのみとどめていない、というお仕事への取り組みが魅力的。プロジェクトの名前にその決意が出ているようだ。


しかしもちろん容易なことではない。「こういうことがやりたい、というときに、うちではここまでできる、でもこれができない」ということが分かる。「うちにはあるだけの機械しかないから、表紙も本文も印刷できるし裁断もできるんだけど、製本はできないの」あるいは、「たとえば紙管がいるな、という話になっても、私たちにはつくる環境がない」だから、そういうときは「これこれできますか?」といろんなところに聞いて回るそうだ。「はじめはこんなことできるところあるのか、って心配だけど、いったんここはこういうことができる、っていうことがわかると信頼できる。怖いものなしって思う」


お話を聞いていると容易なことではないのはこれだけではないようだけど、僕にとって魅力的だったのは、この信頼関係と、それによる共犯(?)関係の力だ。29日鈴野さんによるギャラリートークでも同じ印象を持った。「これ」ができる、ではなく、「こういうこと」ができる、と他人に対して思える力だ。山田さんとのお話から思った「かみの工作所」の強みのもとだ。