事業仕分けのはなし
一定の人々のは当たり前のことを書く。まず前提。事業仕分けは事業の評価ではなく、事業に使われるお金が正しく使われているのかをはかるもの、らしい。
- 作者: 枝野幸男
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/04/16
- メディア: 新書
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具体的に言うと、素人が現場をぐちゃぐちゃにしている、という類いの批判はちょっと考えるべきかも。これは別に「その事業は不要です」とか「その程度の事業にこれだけのお金はいりません」ということを言っているわけではない(はず)。そういう聞き方をされたとしても、必要ならそう答えればいいし、答えてほしい。これを前提にすれば、説明人が理路整然と答えられるかはもちろんのこと、仕分け人の質問が「本来踏み込むべきところじゃないところ」に触れていないかどうかもポイントになる。というのも、ここで言う「評価」せずにお金の流れだけを云々する、というのは、言うのにくらべてやるのはかなり難しそうだからだ。ちなみに「素人が云々」と言って目くじら立てる人もいるけど、場合によっては専門家を立てているケースもあるようだし、一概に「素人が」という批判は当てはまらないかも。それ以前に、ロジカルに説明ができて、聞ける人がそろってたら、別にそんなこと言う必要ないと思うけど。
あと、上にも通じるけど、こんな簡単に廃止とか縮小とか決められちゃたまらん、という批判もどうかな。どうやらこの事業仕分けには法的拘束力はないようだ。だからたとえば「廃止」と言っても、即廃止されるわけじゃないらしい。でもポイントはそこじゃない。むしろその過程が公にされているということが重要。ニコニコ動画やその他のメディアで常にその過程が公開され、常に少なくない人々がそれを見ていたということが大事。今事業仕分けが盛り上がっているのは、テレビや新聞だけが情報源ではないという状況がかなり具体的に多くの人に実感できるものになっているというところにもあるはずだ。そして、この過程が来年も繰り返されるべきだ。そして今回は選挙の関係とかで予算による仕分けだったけど、ちゃんと決算で仕分けられることがたいせつ。具体的に使われたお金を前提としてお話ができると面白いんじゃないかなと思う。
ということをこのニュースを見ながら思った。いま会員しか記事は見えないけど、寄せられたコメントは読める。「建築研究所」ウェブサイトへのリンクはこちら。
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事業仕分けのポイントはこんなところだと思っている。
- 説明者に「わかっちゃいない」と言わせなくしたこと
- 説明者あるいは関係者が「わかっちゃいない」と議論を投げれば、そのときは自分たちにマイナスな結果にしかつながらない。なぜこの事業が必要なのか、その説明責任を仕分け人ではなく、その事業の関係者(説明人)に担わせた、というところが一番のポイント。
- 機関やその事業の「価値」をおぼろげにちらつかせること
- 例えば、仕分け人は他機関との統廃合をちらつかせながらその事業の必要性を問うたりする。「あくまでもお金の流れしか聞きません、事業の評価はしない」とは言うものの、それが結果的に示唆する価値づけのようなものはある。
事業仕分けを通して、ある機関がどういう位置にあり、なにをしていて、どこまでやるのか、それをどうやるのか、という制度の輪郭が見えてくればなと思う。もちろんすべてが開示されるわけじゃないだろうが、その分やぶさかでない機関の動きが目に入りやすくなる、ということもありそう。国とある機関の間に存在意義がよくわからない機関が入っていたり、きわめて似たような事業を行う異なった機関が複数あったり、事業内容もことにややこしかったりするという現状にアクセスするひとつのきっかけになってくれるのかもしれない。