タウンアーキテクト1.5


石山さんは本を書くことでずっと同じことを問うている。

依頼者でもなく、からかうでもなく、無料で勉強したい、タダで情報を得たいと考える人が急増している。
この傾向は助長させなければならない。
住居を考えること、そして、そのあり得るべき姿を思い描くことは建築家だけの特権ではないからだ。わたしたちに何かのプロフェッションがあり得るとすれば、それは住居を考え、思い描く技術をたくさんの人びとに開いていくことにある。
それぞれが自分でキチンと家を考え、できれば自分の家は自分で設計できるような方法が組み立てられる必要があるだろう。今の自力建設はまず、頭の中に家を建設することから始めなくてはならないからだ。(p178)


その根っこの方にあるもののひとつ。住まうところを思い描くのは建築家だけの特権じゃない。これ。アマチュアも空間を夢想する。のだけど、ことわが国の住宅建設にこの事実は含み込まれていない。のみならず住宅産業の方がこの夢想に介入してしまっている。「DIY」もこの事実を打ち崩すほどラディカルにはなっていない。すてきなベランダ作って溜飲を下げてちゃダメだ。家すら建つ、ホームセンターにあるものだけで。アマチュアも空間を夢想する。この当たり前のアイデアを「建てること」へとどう組み込んでいこうか。そういうことを含み込んだ上で設計する、そういう手段もあるだろうけど、それを「システム」として考え、実行するプロフェッションに携わる人だって建築家だと思うのだ。アマチュアのポテンシャルをグイグイ引き出して、なんかすごいものをつくらせてしまうような。会社休め!ハンマーを取れ!と言わずとも。