Architourism

Architourism: Authentic, Escapist, Exotic, Spectacular

Architourism: Authentic, Escapist, Exotic, Spectacular

以下「はじめに」の非常に大まかな要約。拙訳ですので気になる方は原著をどうぞ。

魚が跳ねたような独特な形態を持つフランク・ゲーリー設計の「グッゲンハイム美術館」はビルバオというスペインの片田舎にある。この建物が観光地として一定の集客をもたらしているということ、この「ビルバオ・エフェクト」が、観光と建築とを関連させて考察する契機となったようだ。ただ本書に先立って行われたカンファレンスの間近に折りしもグランドゼロ問題が浮上したこともあり、一方的にこの種の建物に可能性を見出して祝福するわけではなく、追悼(memorialization)という問題も組み込まなければならないと述べる。

そうしたことがらから生まれた語「Architourism」は、それが一時的な流行であろうが後世に残るよう運命付けられていようが集客的な目的地(marketable destination)となりつつある建築が観光産業において所を得ていることを示唆している。はたして「architourism」は後世に残る傑作を創造する契機となるのだろうか。提起すべき問題としてはほかに二点。まずは現代建築の影響(effect)と歴史的建造物が喚起するそれとがどう異なるのか。そしてもうひとつはメディア文化、グローバリゼーション、アーバニズム、そして21世紀経済がどのように建築と観光との関係性を変化させるのか、ということである。

「effect」をどうとらえたものか。「ビルバオ・エフェクト」のそれと「現代建築のエフェクト」のそれとを同じ意味にとるべきか否か。おそらく観光客に対する影響という意味だろうということで考えている。