3Dベニヤ


ブナ、楓、オーク、クルミなどの丸太をかつら剥きしたような薄板(ベニヤ)を、繊維方向を直角になるよう重ね合わせ、無垢の木材よりも強度を持たせるというのが合板の魅力である。可塑性にある程度の限界がある無垢の木材に比べ、ベニヤ合板の場合、各薄板を少しずつずらすことでカーブが出せる。これに気づいたのがフィンランドアルヴァ・アアルトであった。有名なパイミオ・チェアはすべて白樺の合板で作られている。

ただそれでもねじりや半球といった「三次元的」(そもそも三次元だからなんかちょっとヘンだが))な形態は、木材にとってきわめて困難なものである。それを可能にしたのが、このまえ挙げた『Material World 2』で紹介されている「3Dベニヤ」である。開発はドイツReholz社

昨日行ったNHK大阪ホールに置かれていた上の写真の椅子はまだおそらく「二次元」。最大で畳一枚分のパネルを作ることができるようなので使い道は椅子や食堂のトレイだけにとどまらない。間仕切りなんかに使えるようになると面白いかも。木材の「柔らかい」テクスチャーを持つ物理的に「柔軟」な形態が、違和感を喚起しつつ空間を構成していく様は壮観だと思う。

「半透明な木箱」がテーマであるシェルター学生コンペ案のモチーフとして使うこともできそう。