法規

法規の先生と業後にお話ししたこと。建築基準法施工令第46条によると、壁面の表面積から壁のつよさが求められる(すごいざっくり言ってます)のだけど、これは水平荷重を考慮したものだと言える。ただ水平荷重でも地震力は壁面の表面積にあまり関係ない(と思う)ことを考えると、これはとりわけ風圧力を念頭においたのものだと言える。

で、疑問だったのは、先生も授業中に例として出されていた町屋を考えると分かりやすいのだけど、狭い間隔で両サイドが挟まれた住宅はどうか、ということ。挟まれた「間」の住宅の壁面には風圧力はさほどかからないはず。ただ結論から言うとその状況は考慮されないらしい。だから各棟を個別で抜き出して、それぞれが壁の表面積から壁のつよさを求めないといけないことになる。隣の家がなくなったときに都合が悪いから、というのがその根拠だそうだ。だとしたら、行政の側から働きかけて「隣の家がなくなった」という状態を起こさないような条例かなにかをつくったらどうか、と尋ねてみたところ、それなら大丈夫かも、でもそういった例は今まで見たことないな、とのお返事があった。
町並みの保存云々を条例によって規制しようという動きは京都にもあるけど、それが「屋根の高さ・勾配」とか「壁面の色」とか、なにかパッケージのレベルでとどまっている限り保存の結果もたいしたことないのではないか、と思ってしまう。だったらいっそ町屋のおかれている状況や構造的特質を考慮した、根本的な規制のほうがまだマシなんじゃなかろうか。住んだことがないのでなんともいえないが、個人的に町屋の形式はかなり高い「完成度」を持っていると思っている。だから「町屋の改修」も痛んだところをちょっとずつ直す、くらいで充分オーケーだと思う。それでも「いや、住みづらい」という人は、「住みたい」という人に貸すなり譲るなりすればいいんじゃないだろうか。ノスタルジアか否かはさておいても町屋のアクチュアリティに惹かれている人は少なくないと思うんだけどな。

「縁側」の思想

「縁側」の思想

最近出たジェフリー・ムーサスさんの日本建築論。彼の人となりはちょうど日経BPにインタビューがあります。

こういう話がアレックス・カーさんとか、ジェフリー・ムーサスさんといったような「エイリアン(異邦人)からの目線」によってしか語れなくなるまえに、ぼくたち若人が頑張って「アナザー・エイリアン」にならないといけないなと思ったりしている。