金曜ランドスケープの授業レポは雨のはなし。
まずは建物があることでこの二つが起きる。

  1. 日射の過剰受容→ヒートアイランド現象へ
  2. 雨水の貯水量が減少→洪水対策への膨大なお金

低影響開発のすすめ
都市部に蓄積する微量のゴミや環境汚染物質が雨によって河川へと流入してしまうため、雨は下水処理される。しかも雨水のみでは樹林が育たないのでその処理も上手にやらなければならない。ただ都市部では事はそう簡単ではない。一例として、路上にある吸水性タイル面に水溜りができているという不思議な現象が紹介された。これは車の排ガスに含まれるカーボンが雨とともに汚泥化しタイルの目地に詰まっているというのが原因。「低影響開発」の進むアメリカに比べ、日本の現状が危機的であるなか、どのような取り組みが必要なのか、というお話。
ベスト雨処理のシンプルさと困難さ
さて、ではどういう雨処理がベストなのか。単純に言ってしまうと「自然浄化」がそれ。降雨が浸透する層を建物の周りにつくり、時間をかけて雨が浄化され、それが水蒸気になっていく際の気化冷却によって建物が出す熱を奪うということ。「微生物や菌類や植物、あるいはそれらの酵素を用いて有害物質で汚染された自然環境(土壌汚染の状態)を、有害物質を含まない元の状態に戻す処理」(Wikipedia当該項目より)である「バイオレメディエーション」のためにもこうした雨水浸透層(土があるところ?)が必要とされる。「バイオ・レメディエーション」「バイオスウェイル」「バイオレテンション」などなど、こうした手法を含む、自然の原理を基にした降水管理を「低影響開発」というのである。まずとりあえず「地表」がいる、というシンプルな話なのだが、土のない現状の都市部ではきわめて困難なものとなる。
余談と矛盾
余談だがこうした「バイオレメディエーション」の技術を用いた住宅を旭化成ホームズ(へーベルハウス)が販売している。

ただ矛盾としては廃棄に膨大なエネルギーが必要とされること。要するにライフサイクルインパクトがあまりにも高いのである。
閑話休題と実例
こうした問題に対して、例えば「東京ミッドタウン」なんかでは「集積高度利用建築」と「地表」(浸透層?)をセットにして開発するというひとつの答えを出している。こうすることで地表面で生活雑水や雨水の濾過を行い、貯水部をもうけることで散水。防災、空調冷却水をまかなうことができるわけだ。東京にある「ららぽーと豊洲」では飲料可能な噴水が名物になっているのだけど、雨水等も含まれる循環水の浄化にそれだけ自信があるということだろう。雨仕舞を計算してつくられた広場地面の三次元局面もこうしたシステムに連動しているのである。
さっくりとまとめ
箇条書きでさっくり

  • 雨水を敷地の外に出さず、内側で循環させよう
  • そのために敷地内に雨水浸透層をつくろう
  • こうした自然の原理に沿った降雨管理を「低影響開発」と呼ぶよ
  • 雨水循環のシステムには多様な可能性があって、そのいくつかは現在すでに見ることができるよ

低影響開発Low Impact Development略してL.I.Dを紹介するウェブサイト見つけました。あわせてどうぞ。