どこかしらへ向けたゆるめの助走―その5

読んだ本とそこからのメモ。
都市におけるデザインの問題に対し、誰がどうやって取り組んでいるのかを整理してくれている一冊。友人が貸してくれた本です。

都市環境デザインの仕事

都市環境デザインの仕事

建築設計事務所、ゼネコン、ディベロッパー、ハウスメーカー、土木コンサル、ランドスケープデザイン事務所、まちづくりコンサル、行政などなど、36人の方々がそれぞれに異なった自らの仕事を紹介してくれている。具体的には職業内容から今後の課題まで、設定された質問に応答する形で職業紹介がなされている。いわば都市環境をデザインするアプローチの36パターンがここに示されているというわけだ。ちなみにStudio-Lの山崎亮さんも寄稿されている。
それぞれの職業の概説を読みながらひとつ思うことは、本書では「かたち」の論理よりも「いかになしとげるか」の論理の方に重点が置かれているということ。多数の人間、それも専門的思考に慣れていない人々も多く関わる都市において何かを生み出す際に、例えばあるアプローチではこのように進めていきますという手続きの説明に多くが費やされている。どれも粘り腰で根気がいることが強調されている一方、36通りのバリエーションを見るためにはやはりそれぞれのプロセスを見るのが一番分かりやすい。ある意味職業案内の色をもつ本書なので理解はできるけど、そのアプローチにおけるプロセスと、そこから生まれてくる「かたち」(成果というか)とのつながりをもう少し見たかったようにも思う。
ここで引用。本書128ページに「民間コンサルタントのパターン」がリスト化されているので少し抽出してみたい。

  1. 金融系のシンクタンク(○○総合研究所:株式会社)
  2. 行政の企画や政策立案をする組織(○△県地域研究所:財団法人等)
  3. 土木コンサルタント(×□コンサルタント:株式会社)
  4. 地域をテーマにした民間コンサルタント(○△研究所、▽□プラン:株式会社、有限会社等)
    1. 都市計画コンサルタント
    2. 再開発コーディネーター
    3. まちづくりコンサルタント

ちなみにこのどれもが都市環境に直接関わるわけではない。比較的ソフトよりの分析にとどまるものもあれば、かたちを生み出す側へと積極的にコミットしていくものもある。日本にこの種の職業ができて30年40年経ったいま、つぎつぎと細分化する現状を見ていくための、ひとつの指標として上のリストを考えてみたい。