蚊帳

住友化学の販売する蚊帳がアフリカのマラリア対策に一役買っているとのことだ

年間五億人が感染し、百万人が亡くなるこの病気への対応策として、マラリアの感染源である蚊から身を守ってくれる蚊帳はきわめて有効なものだろう。現在当の感染源となるハマダラカ属の蚊がかつて寒すぎて適応できなかったはずの場所にも見られるようになったことを受け、温暖化の脅威として喧伝されたりもしている。ただ、かりにそれが解決されたとしても蚊が「元の分布範囲」に戻るだけでマラリアの恐怖は少なからず残るだろうし、温暖化とマラリア被害はさほど関係ないとする意見もある。実は50〜100年前には先進国でもマラリア被害が多く見られたらしく、有効な手段としては1)湿地の干拓等インフラの整備だったり2)住宅の改善3)栄養状態を良好に保つこととのことだ。

ただ現実的にこれらを一挙に解決することは難しい。現実に即したマラリア対策として蚊帳がアフリカでバカ売れというのはちょうど2)をサポートできるからだろう。今後1)3)が改善されるまでの「パッチ」のような役割としても有効なのではないだろうか。しかも蚊帳工場のあるタンザニアでは「直接雇用だけで3200人、運送や補修など周辺ビジネスも考えれば3〜4倍の雇用を生み出している」とのこと。なお、住友化学は今年の5月に年間2000万張を生産する工場をナイジェリアに建設することを決めた。これによって5000人もの直接雇用を生み出すことができる。

これで工場建設まで地元民で行われたら、マラリア対策へと腰を上げることができる世帯数はさらに増えるだろう。建材(?)としての蚊帳がマラリア対策に一役買うこと、工場建設がさまざまな形で雇用をつくりだすということ、あくまでも人為的なソフトの面をサポートするような形で建設業が存在していることに興味を引かれる。ハードありきじゃないというところがまた面白い。