白書のリデザイン


インフォグラフィック関連で考えてきたことを具体的に形にしてみたり、形にしてもらうときどう説明するか、ということについて。そこらじゅうに転がっている「データ」を誰かが拾い上げたとき、それは「情報」へと変化し、それを体系化したものが「知識」である、という一応の定義を考えてみると、

  1. 「データ」から「情報」への変換作業
  2. それを体系化とまではいかなくとも筋立てるような作業


これを「ヴィジュアライズ」という観点からするのが個人的な意図ではある。ただ1の作業は思ったより大変だし、ヴィジュアライゼーションとはまた違った筋肉を使うとすればその工程が邪魔なものになりかねない。これを避けるためには、あらかじめ選別化されヴィジュアライゼーションを待つだけの情報があればよいことになる。だがそんなものは存在しているのだろうか。


結果的に言うと存在している。白書というのがそれだ。Wikipediaの当該項目にはこうある。

白書(はくしょ)とは、日本の中央省庁の編集による刊行物のうち、政治社会経済の実態及び政府の施策の現状について国民に周知させることを主眼とするもの。 政府の施策についての現状分析と事後報告を中心とした公表資料であり、統計、図表、法令などのデータ集は含まれない


強調はサカキバラ。ちなみにここでの「データ」と今回の「データ」はおそらく定義が違うことをさておいても、図表のない(狭義の)白書には選別化されたヴィジュアライゼーションを待つだけの情報が存在していることになる。具体的に見てみよう。たとえば国交省関連では


があるらしい(Wikipediaより)。でも実際に国土交通省の当該ページを見てみると、プラスして

  • 国土レポート
  • 土地白書
  • 運輸経済年次報告(運輸白書)
  • 海事レポート
  • 国土建設の現況(建設白書)


も見える。先にヴィジュアライゼーションを待つだけの情報、とは言ったものの、実際には図表が入っていたりするので必ずしもそうとは限らない。のだけど、批判対象としてすでに例示がなされていると考えるとこれは結構好都合だ。


端的に言えば、白書をリ・デザインしてみると面白いのではないかということである。上の文脈ではデータ選別をすっ飛ばすというようなニュアンスが出てしまったのかもしれないけど、白書リ・デザインにおいてはすでにある情報のうち何をどう選択するのかという作業がそれに当たるだろう。もちろん白書は報告書ではあるけれど、僕たちにとっての報告すべき情報ではないわけだから、白書に掲載されている情報を頼りにしながらまったく別のメッセージを構成してもいいことになる。グラフの描き方、ひいては横軸縦軸というお決まりをいじりながら面白いヴィジュアルが出現してきたら面白い。そしてこの場合重要なのは、どのような工程を経たのかというプロセスを伝えるということだと思う。ヴィジュアライゼーションという工程をいかに可視化できるかを重視したい。